国民生活センターは2月18日、ネット通販などで購入した金属アレルギー対応のアクセサリーを着用したことによる「かぶれ」などの危害情報について公表した。PIO‐NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)によれば、金属アレルギーに関する危害情報が、2020年4月~2025年11月30日までの約5年半の間に132件寄せられていて、そのうちアクセサリー類や腕時計等の装飾品に関する情報は50件で、なかには金属アレルギー対応をうたう商品による事例も含まれていた。金属アレルギーは、皮膚に金属が触れることで起こる接触皮膚炎の一種で、金属の成分と皮膚のたんぱく質が結合して生じた新たな物質がアレルギー反応を引き起こす。主な症状として、皮膚のかゆみや赤み、かぶれ等を発症する。アレルギー反応を引き起こす原因となる金属の種類はさまざまだが、そのなかでもニッケルによるアレルギーは発症頻度が高いことが分かっている。同センターは相談の多いネックレスについて、ニッケルの溶出や材質等の品質に係るテストや表示の調査を行い、消費者に向けて情報提供を行った。(原田恵理)
金属アレルギーを引き起こす可能性の高い金属は、▽ニッケル▽コバルト▽クロム▽金-が挙げられる。特にニッケルと金は、アレルギーの有無を診断する検査であるパッチテストで陽性率が高いことが報告されている(日本国内調査)。
ニッケルによるアレルギーは、金属アレルギーのなかでも発症頻度が高いことが世界的に知られていて、欧州(EU)では、日用品から溶出するニッケル量を規制し、ニッケルアレルギーの発症リスクの低減が図られている。特に、皮膚に直接装着して接触時間が長くなるアクセサリー類は、欧州規格EN1811に基づき、人工汗液を用いた試験でニッケル溶出量が一定基準以下であることが求められている。
一方、日本では、現時点でニッケルに関する品質や表示についての法的な規制はない。厚生労働省の「2022年度家庭用品に係る健康被害の年次とりまとめ報告」によれば、ネックレスなどの装飾品、健康器具、美容製品、時計、ベルト等の金属製品について、ニッケルの溶出量を調査したところ、約4分の1が欧州規格EN1811の基準を超える溶出量を示したことが報告されている。
寄せられた危害情報をみると、▽ネットで金属アレルギーでも使用できると表示されていたネックレスを購入したところ、首が赤くただれた(2025年6月、50歳代女性)▽オンラインモールのショップで「アレルギー対応」の表示のあるピアスを購入して着用したら、3日でピアスの穴から膿(うみ)が出た-といったものがある。
同センターでは、相談の多いネックレスを対象に、Amazonなど国内外のECモール6サイトを選んでテストを行った。
それぞれのモールで「金属アレルギー対応」で検索した際に「売れている順」等で上位に表示され、消費者の目に触れる機会が多いと思われる金属製ネックレスを、各モールから10銘柄ずつ、計60銘柄を選んでテストの対象とした。
購入金額は180~1050円、平均499円と比較的安価なものを選定した。
テスト対象の60銘柄のうち、販売サイトの商品ページで「金属アレルギー対応」や「低アレルギー」、「ハイポアレルゲニック(低アレルゲン)」等の表示があったのは33銘柄だった。それら33銘柄中8銘柄の商品ページと、1銘柄の本体付属説明書に、▽すべての方にアレルギー反応がおこらないわけではない▽皮膚に異常を感じた場合は受診する▽汗をかく場合にはアレルギー反応が出やすくなる場合がある―といった金属アレルギーに関する注意書きが表示されていた。
ニッケル含有量を調べたところ、60銘柄中40銘柄がニッケルを比較的多く含む可能性が確認された。それら40銘柄を対象に欧州規格に準じた方法で溶出試験を行ったところ、8銘柄で溶出がみられ、うち1銘柄は基準の17倍もの溶出が確認された。
金や銀などの純度の高さを示す「K18(金)」や「925(銀)」といった刻印について、適切に表示されているかを蛍光X線分析法で調査したところ、60銘柄中2銘柄に示されていた「18K」と、「925」や「S925」の刻印がある16銘柄中11銘柄が、いずれの素材もほとんどが鉄や銅などでできていて、刻印の品質表示と表面処理を含む商品全体の素材が適切に表示されていないことが分かった。
同センターは、販売事業者に向けて、商品情報の適切な表示を求めるとともに、厚労省と経済産業省に対し、ニッケル溶出量の規格基準の策定の検討を要望したと報告している。