自動車の窓をスイッチ1つで開閉できる「パワーウインド」に、乳幼児の首や手などが挟まれ、重大な事故につながる危険があるとして、国民生活センターが注意を呼びかけている。乳幼児を車に乗せる保護者ら500人を対象に行ったアンケートでは、42人が「同乗中の乳幼児がパワーウインドに挟まれた経験がある」と回答。国センは、チャイルドシートの適切な使用や窓を操作する際の安全確認、パワーウインドのロック機能の活用などを求めている。

パワーウインドは、運転席などに設置されたスイッチを操作することで、電動で窓を開閉できる便利な装置。現在では多くの自動車に搭載されている一方で、窓が閉まる際に子どもの手や首などが挟まれる事故が発生している。特に、乳幼児は危険を自分で判断したり、事故が起きた際にすぐに対応したりすることが難しく、保護者の注意が欠かせない。
国センが実施したアンケートでは、乳幼児が実際にパワーウインドに挟まれた事例の約5割が、運転席からのスイッチ操作によって発生。また、事故の原因については、6割以上が「状況の確認不足」と回答している。運転者が後部座席などにいる子どもの様子を十分に確認しないまま窓を閉めた結果、手や指などを挟んでしまうケースがあることが分かる。
さらに、挟まれたり、挟まれそうになったりした経験がある人の約半数では、チャイルドシートを正しく使用できていなかった可能性があったという。チャイルドシートを適切に装着していない場合、子どもが座席上で動きやすくなり、窓に手や顔を近づける危険性が高まる。国センは、子どもの年齢や体格に合ったチャイルドシートを選び、肩ベルトなどを正しく装着することが重要だとしている。
実際の車両を使用したテストでも、注意すべき点が明らかになった。調査した7銘柄のうち、すべての座席の窓に「挟み込み防止機能」が備えられていたのは2銘柄だった。挟み込み防止機能は、窓を閉めている途中で物などを挟んだことを検知すると、窓を停止させたり反転させたりする仕組み。しかし、この機能が付いていない窓では、窓が閉まる力を大人が手で止めようとしても難しい場合が確認された。
また、全開の状態から窓が完全に閉まるまでの時間は約2~3秒と短かった。運転者が異変に気付いてから操作を止めようとしても、間に合わない可能性がある。挟み込み防止機能を備えている窓についても、操作の仕方などによっては窓が反転しないケースが確認されており、「安全機能があるから大丈夫」と過信し過ぎるのは注意しなければならない。
事故を防ぐためには、まず子どもを車に乗せる際にチャイルドシートを正しく使用することが重要。子どもの体が適切な位置に固定されれば、窓に手や頭を近づけにくくなり、事故の危険を減らすことにつながる。また、子どもが自分でパワーウインドを操作できないよう、運転席にあるウインドロックスイッチを活用することも有効だ。
また、運転者自身の確認も欠かせない。窓を閉める際には、子どもの手や顔が窓の近くにないかを目視したり、声をかけたりして安全を確かめる必要がある。特に後部座席の窓を運転席から操作するときは、運転者から子どもの様子が見えにくいため、より慎重な確認が求められる。
国センは、消費者への注意喚起に加え、自動車業界に対しても安全性の向上を要望している。挟み込み防止機能について、より確実に事故を防げるよう改善することや、挟み込みが発生した場合に運転者が速やかに異常を認識できる機能の開発などを求めている。
日常的に利用する自動車のパワーウインドは便利な一方、わずかな確認不足や誤操作が乳幼児の重大事故につながる可能性がある。安全装置だけに頼るのではなく、チャイルドシートを正しく使用し、子どもには窓を操作させず、大人が窓を閉める際にも周囲を確認する。こうした基本的な対策を重ねることが、事故を防ぐうえで重要になる。