訪日外国人旅行者の増加に伴い、消費者トラブルに関する相談も増えている。国民生活センターが8月5日に公表した「2025年度 訪日観光客消費者相談の状況」によると、訪日観光客から寄せられた相談は493件となり、前年度の388件から105件増加した。過去最多だった2024年度をさらに上回り、2025年度は最多を更新した。


訪日観光客からの相談件数を年度別にみると、2019年度264件、2020年度32件、2021年度10件、2022年度68件、2023年度227件、2024年度388件、2025年度493件。コロナ禍で大きく減少した後、訪日客の回復とともに増加し、2025年度は過去最多となった。493件のうち、訪日前が41件、訪日中が241件、訪日後が211件で、訪日後の相談が初めて4割を超えた。
商品・役務別でみると、「宿泊施設」が148件(30%)で最も多く、次いで「外食」43件(9%)、「健康食品」33件(7%)、「レンタカー」31件(6%)、「かばん」14件(3%)、「航空サービス」14件(3%)の順となった。宿泊施設、外食、健康食品は2024年度に続いて上位を占め、レンタカーは前年度より相談が増加した。
宿泊施設では、部屋の設備の不具合や、客室がカビ臭く虫もいたといったサービスの品質に関する相談があった。空調機器の音がうるさいのに対応してもらえなかったなど、接客に関する相談もみられた。さらに、オンライン旅行予約サイト(OTA)に掲載された客室写真と実際の部屋が大きく異なっていたという表示上の問題や、キャンセル料、キャンセル不可プランなど宿泊約款をめぐる相談も寄せられている。
外食では、席料の事前説明がなかった、想定より高額な料金を請求されたなど、価格や料金の表示・説明をめぐる相談が目立った。客引きに案内された店で高額請求を受けたという、悪質性が高いとみられる事例もあった。また、店内の備品によって負傷したという危害に関する相談も寄せられている。
健康食品では、ツアーガイドの勧誘を受け、免税店で商品を購入してトラブルになったケースが多かった。「医薬品と説明されたのに健康食品だった」「購入を急かされ、冷静な判断ができないまま契約した」といった相談が寄せられた。
レンタカーでは、旅行中の交通事故をめぐり、修理費の請求根拠が示されない、保険に加入していたにもかかわらず修理費を請求されたなどの相談があった。事故時に警察へ届け出ず、事故証明を取得しなかったため保険が適用されなかったケースもある。かばんでは、ブランドバッグやスーツケースについて、不具合や購入後の不満から返品を求めたものの、事業者の返品条件との認識の違いからトラブルになった事例がみられた。
相談に対応した言語は、中国語が301件(61.1%)で最も多く、英語103件(20.9%)、韓国語51件(10.3%)、日本語33件(6.7%)、タイ語4件(0.8%)、フランス語1件(0.2%)と続いた。ベトナム語にも対応しているが、2025年度の相談はなかった。中国語、英語、韓国語の3言語で全体の9割を超えている。特に韓国語は、前年度の19件(4.9%)から51件(10.3%)へと大きく増加した。
なお、この「訪日観光客消費者ホットライン(Consumer Hotline for Tourists)」は訪日観光客向けの窓口だが、実際には訪日観光客以外からの相談も寄せられている。2025年度に寄せられた相談は全体で698件。このうち訪日観光客は493件(71%)で、在留外国人が153件、在外外国人・在外日本人が33件、属性不明が19件だった。