地震の被災地支援をうたい、SNSのダイレクトメッセージ(DM)から消費者を誘導して金銭をだまし取る詐欺的なトラブルが確認されているとして、国民生活センターは8月17日、注意を呼びかけた。被災地への寄付を名目に商品を購入させ、コード決済サービスを利用して支払額以上の金額を一度は返金することで消費者を信用させた後、高額な支払いを要求する手口が確認されている。災害時には人々の善意につけ込んだ詐欺や悪質商法が発生することから、国民生活センターは不審なDMには応じないよう求めている。
国民生活センターによると、今回確認されたのは、2026年(令和8年)熊本地震の発生に便乗したとみられる手口。相談を寄せた関東地方の50代女性には、SNSでフォローしていた飲食店のアカウントからDMが届いた。「指定されたウェブサイトで商品を購入すると被災地に寄付でき、さらに購入額より多い金額がコード決済で返金される」といった内容だった。
女性がDMに記載されたリンクにアクセスすると、無料通信アプリ「LINE」に誘導され、友だち登録後にグループへ参加することに。指示に従って1000円分の商品をコード決済で購入すると、実際に1200円分が返金された。その後も同じような取引を繰り返し、支払った金額より多い額が返ってきたという。
グループ内では別の参加者からも「返金を受けた」とするメッセージが送られてきた。女性はこうしたやり取りを見て信用できると判断したという。しかし、複数回の取引を続けた後、10万円をコード決済で支払ったところ、それまでのような返金はなかった。さらに相手から「15万円を決済すれば10万円も返金する」と連絡があったため、不審に思った女性は追加の決済をせず、相談に至った。
最初は少額の取引で実際に利益が出たように見せ、相手を信用させた後に高額な支払いを要求する点が今回の手口の特徴。被災地への寄付という社会的な善意を利用していることに加え、SNSやLINE、コード決済といった日常的に使われるサービスを組み合わせることで、消費者が警戒しにくくなる可能性もある。
国民生活センターは、「〇〇Payで返金する」などと言われた場合には詐欺を疑うよう注意を促している。被害に遭った場合は、利用したコード決済サービスの事業者に速やかに申し出るとともに、警察に相談することが重要だとしている。
また、SNSでは実在する企業や店舗などを装った偽アカウントが作られるケースもある。普段から利用したりフォローしたりしている店舗の名前や画像が表示されていても、それだけで本物のアカウントだと判断するのは危険。被災地支援を名目とするDMが届き、商品購入や寄付を求められた場合には、そのメッセージ内のリンクだけを信用せず、事業者の公式ホームページなどを自分で確認する必要がある。
SNS上のDMやメールからLINEなど別の通信手段へ誘導するケースにも注意が必要。最初は不審だと気付かなかった場合でも、金銭を要求されたり、不自然な操作を指示されたりした時点で連絡を絶つことが被害防止につながる。相手に氏名や住所などの個人情報を伝えず、金銭を要求されても支払わないことが大切だ。
正規の寄付や義援金であっても、支援先を慎重に確認することが求められる。寄付を募る団体の活動内容や集めた資金の使い道を確認し、銀行口座へ振り込む場合には口座名義などを十分に確かめた上で判断することが重要だ。
国民生活センターは、不審なDMやメールは無視し、やり取りを始めてしまった場合でも、おかしいと感じた時点で連絡を絶つよう呼びかけている。少しでも不安を感じた場合には、消費者ホットライン「188」や警察相談専用電話「#9110」などへの相談を勧めている。