第5次食育推進基本計画を公表。食品安全・食料供給で消費者の「選択する力」重視

 農林水産省は6月24日、2026年度から5年間を計画期間とする「第5次食育推進基本計画」を公表した。5月27日に公布・施行された「食育基本法の一部を改正する法律」を踏まえ、新たな食育施策の具体的な方向性を示した。同計画では、行政、教育関係者、農林漁業者、食品関連事業者等が連携・協働して食育を推進するとともに、消費者自身も食品の安全性をはじめとする食に関する知識と理解を深め、食生活について自ら適切に判断・選択していくことの重要性を指摘している。


 同計画では、食育の推進状況を測る指標として、複数の項目で数値目標を設定。このうち、「食品の安全性について基礎的な知識を持ち、自ら判断する国民の割合」については、2025年度の68.6%から5年後に75%以上へ引き上げることを目指す。食品表示を活用した食品選択や、食中毒予防に関する適切な調理・保管方法などについて基礎的な知識を持ち、その知識を実際の行動につなげることが重要としている。
 また、国や関係団体が連携し、食品の安全性や栄養成分、食習慣などに関する国内外の調査研究や情報提供を進める方針を示した。食品安全に関するリスクコミュニケーションも積極的に実施し、消費者の関心が高いテーマについては、科学的知見に基づく正確な情報提供を行うとともに、消費者を含む関係者と意見交換会を開催し、理解促進を図るとしている。

 さらに、食料の安定供給に向け、消費者の意識や選択行動を変える取り組みにも力を入れる。背景には、国内の農林漁業者の減少や高齢化が進み、2024年度の総合食料自給率が供給熱量ベースで38%にとどまるなど、多くを海外からの輸入に頼る状況がある。改正された食料・農業・農村基本法第14条においても、消費者の役割として、農業等への理解を深め、持続的な供給に資する商品の選択に努めることが規定されており、同計画では生産現場への理解を深めることが、国産農産物の選択など具体的な行動変容につながると指摘している。
 このため、国産農産物の消費拡大などに向け、消費者だけでなく、生産者、食品事業者、行政など食料システム全体の関係者が連携した国民運動を展開する。また、農林水産省が2024年に開始した「フェアプライスプロジェクト」を通じ、食品の生産・製造・流通の実態やコスト高騰の背景を分かりやすく発信し、合理的な費用を考慮した価格形成への理解醸成と行動変容の促進を図る。


食品関連事業者と食育

 食品関連事業者による食育の推進では、農林水産省が2025年に創設した「官民連携食育プラットフォーム」などとも連携し、消費者の健全な食生活につながる情報提供や商品・サービスの展開を進める。具体的には、食生活改善に役立つ表示の充実、生産者や産地に関する情報発信のほか、工場・店舗見学、調理体験、農林漁業体験、出前授業など、多様な食育活動を推進する。また、野菜や果物の摂取不足を解消するため、カット野菜・カット果物などの供給拡大に向け、加工設備の導入支援を行い、特に摂取量が少ない層でも手に取りやすい食環境づくりを進める。


 このほか、計画では重点事項として、①学校等における食や農に関する学びの充実②健全な食生活の実現に向けた「大人の食育」の推進③国民の食卓と生産現場との距離を縮める取り組みの拡大―の3点を掲げている。


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