おにぎり、素手派?ラップ派?手から広がる黄色ブドウ球菌

おにぎりを握るとき、素手で握っていますか?
私たちの皮膚や鼻などには、健康な人でも「黄色ブドウ球菌」が存在することがあります。手指を介して食品に付着した黄色ブドウ球菌が、食品中で増殖すると、食中毒につながることがあります。そのため、おにぎり、いなりずし、巻きずし、弁当、調理パンなど、加熱した後に手作業で調理する食品は、黄色ブドウ球菌による食中毒の原因となることがあります。


黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)は、顕微鏡で見ると、ぶどうの房のように集まっていることから、この名前が付けられました。健康な人の鼻腔や咽頭などにも存在し、食品安全委員会のファクトシートでは、保菌率は約40%とされています。特に、化膿した傷口などには多く存在するため、食品を扱う人の手指などを介して食品に黄色ブドウ球菌が付着することがあります。

熱に強い毒素「エンテロトキシン」

黄色ブドウ球菌は食品中で増殖すると、エンテロトキシンという毒素を産生します。この毒素を含む食品を食べることで、食中毒を起こします。
黄色ブドウ球菌自体は熱に弱いですが、エンテロトキシンは熱に強い性質があります。東京都保健医療局によると、100℃で20分加熱しても分解されないといいます。そのため、食品中でいったん毒素が作られてしまうと、後から加熱しても食中毒を防げないことがあります。「火を通せば大丈夫」とは限らないことが、この食中毒の特徴です。
また、黄色ブドウ球菌は酸素のない状態でも増殖でき、多少の塩分があっても毒素をつくります。そのため、食品に菌を「つけない」こと、食品中で「増やさない」ことが重要です。
黄色ブドウ球菌による食中毒では、食後30分~6時間程度と比較的短い時間で、吐き気、おう吐、腹痛などの症状が現れます。下痢を伴うこともありますが、一般に高熱はみられません。

おにぎりを握るときはラップを

「エンテロトキシン」は熱に強いため、黄色ブドウ球菌による食中毒の予防の基本は、食品に菌を「つけない」ことです。調理前には手をよく洗い、手指に切り傷や化膿した傷がある場合は、食品に直接触れたり調理したりしないことが大切です。食品安全委員会は、傷がある場合だけでなく、絆創膏を使用している場合も注意し、おにぎりを握る際にはラップやビニール手袋などを使うことを勧めています。
また、「増やさない」ことも重要なポイントです。食品は低温で保存し、黄色ブドウ球菌が増殖しにくい環境にしましょう。東京都保健医療局は、食品を10℃以下で保存するよう呼びかけています。
お弁当やおにぎりを作ってお出かけする機会が多くなる夏。手洗いをしっかり行い、傷のある手で食品に触れない。そして、おにぎりを握るときはラップなどを使う。ちょっとした配慮が、黄色ブドウ球菌による食中毒の予防につながります。


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