カンピロバクター 新鮮な鶏肉も十分加熱

食中毒の原因となる細菌の一つに「カンピロバクター」があります。国内では、細菌による食中毒の中でも発生件数が多く、年間を通じて発生しています。特に、生や加熱が不十分な鶏肉を食べたことが原因となるケースが多いため、家庭での調理でも注意が必要です。厚生労働省などによると、カンピロバクターは、ニワトリやウシなどの家畜のほか、ペット、野鳥、野生動物など、さまざまな動物が保菌している細菌です。食中毒の原因となるものの多くは「カンピロバクター・ジェジュニ」と「カンピロバクター・コリ」です。


カンピロバクターは乾燥に弱く、十分な加熱により死滅します。一方で、比較的少ない菌量でも感染が成立するとされています。厚生労働省は、「食鳥処理の技術ではこれら(カンピロバクターなど)の食中毒菌を100%除去することは困難」とし、鶏肉や内臓からカンピロバクターが高頻度で検出されるとしています。
感染すると、下痢、腹痛、発熱、悪心、嘔気、嘔吐、頭痛、悪寒、倦怠感などの症状が出ます。潜伏期間は一般に1~7日間とやや長いことが特徴です。多くの場合は1週間ほどで治りますが、乳幼児や高齢者など、抵抗力が弱い人は重症化する危険があります。
また、感染から数週間後に、手足の麻痺などを起こす「ギラン・バレー症候群」を発症する場合があることも指摘されています。

倍率2,000倍で観察した「カンピロバクター・ジェジュニ」 画像提供:さいたま市健康科学研究センター

新鮮でも生食は危険

原因となる食品として特に注意したいのが、鶏肉です。厚生労働省によると、カンピロバクター食中毒では、鶏レバーやささみなどの刺身、鶏肉のタタキ、鶏わさなどの半生の料理、加熱不足の鶏肉料理などが原因として疑われる事例があります。
「新鮮な鶏肉なら生でも安全」と考えてしまう人もいるかもしれません。しかし、健康なニワトリでも腸管内などに食中毒菌を持っている場合があり、現在の食鳥処理技術では食中毒菌を100%取り除くことは難しいとされています。
鮮度が良いことと、カンピロバクターによる食中毒の危険性が低いことは別の問題といえます。新鮮な鶏肉であっても、生や半生で食べないことが大切です。

「鶏肉は洗わない」「中心まで加熱」家庭で徹底したい予防法

最も大切なのは、鶏肉を中心部までしっかり加熱することです。厚生労働省や食品安全委員会では、中心部を75℃で1分間以上加熱することを目安としています。肉の中心部まで色が変わっているか確認することも大切ですが、見た目だけで判断せず、十分に加熱しましょう。
また、加熱するだけでなく「二次汚染」にも注意が必要です。生の鶏肉を切った包丁やまな板から、サラダや果物など、そのまま食べる食品に菌が移ることがあります。
そのため、生の鶏肉を水で洗うことも避けましょう。 鶏肉を洗ったときに水がはねると、鶏肉についている食中毒菌が水滴と一緒に飛び散り、キッチンや周囲の食材を汚染する可能性があります。鶏肉のドリップが気になる場合は、キッチンペーパーなどでふき取るようにします。
生の鶏肉を扱った後は、手を十分に洗いましょう。包丁やまな板などの調理器具は、肉を切った後に洗浄・消毒し、ほかの食品を扱うときにそのまま使わないようにします。生の鶏肉と加熱せずに食べる食品は、保存するときも調理するときも接触しないようにすることが大切です。


「くらしナビ」の記事は、消費者教育や啓発活動への活用を歓迎しています。記事の転載・紹介を行う場合は、「日本消費経済新聞 くらしナビ」を出典として明記のうえご利用ください。内容の改変はご遠慮ください。