東京都は、2025年度(令和7年度)のインターネット広告表示監視事業とSNS等広告表示監視事業の実施結果を公表した。SNS広告の監視件数を前年度の240件から320件へ拡大した結果、景品表示法違反のおそれがある広告377件(312事業者)に改善指導を実施。健康食品や化粧品を中心に、「売上No.1」など根拠のない優良誤認表示や、「期間限定」「初回500円」といった有利誤認表示、広告であることを隠したステルスマーケティングが数多く確認され、デジタル広告の適正化が改めて課題となっている。

東京都は2009年度(平成21年度)からインターネット広告の監視を続けているが、近年は動画配信サービスやSNS、ニュースアプリなどを通じた広告の急増を受け、2024年度(令和6年度)からSNS広告の監視を本格化した。昨年度はインターネット広告1万6,000件、SNS広告320件を調査し、インターネット広告178件(163事業者)、SNS広告199件(149事業者)に改善指導を実施。SNS広告は監視件数こそ少ないものの、指導対象となる割合が高く、不当表示の深刻さが浮き彫りとなった。
指導内容では、「優良誤認表示」が最も多かった。実際には十分な根拠がないにもかかわらず、「飲むだけで痩せる」「日本唯一」「売上No.1」「満足度99%」「国が効果を認めた」などと表示する事例が確認された。また、一時的なランキング実績だけで「日本一」と表示したり、10年前の調査結果を使って現在も「No.1」と表示したりするなど、消費者の判断を誤らせる広告も見られた。
「有利誤認表示」も目立った。「今だけの特別価格」「期間限定セール」と表示しながら実際には継続して販売していたケースや、「送料無料」と強調しながら送料相当額を商品価格に含めていたケース、「初回500円」と表示しながら年間の定期購入契約が条件だったケースなど、実際よりも有利な条件で契約できるように見せる広告が多数確認された。
さらに東京都が問題視するのは、広告であることを分かりにくくするステルスマーケティング。消費者の体験談や口コミを装った投稿、有名大学との共同開発を装う表示、「SNSで大人気」「有名情報誌掲載」など第三者評価を装った広告など、消費者が広告と認識しにくい手法も確認された。
2023年10月から、ステルスマーケティングは景品表示法の規制対象となっているが、依然として不適切な表示が少なくない実態が明らかになった。
商品・サービス別では、インターネット広告は健康食品、雑貨、役務が中心だった一方、SNS広告では健康食品が全体の65%を占め、医薬部外品や化粧品が続いた。
東京都は、健康・美容分野の商品ほど効能や効果を強調した広告が多く、不当表示が集中する傾向があると分析している。
東京都では今後、業界団体や事業者に法令順守を一層徹底するよう求めるとともに、関係行政機関との情報共有を進める方針。また、消費者に対しても、「No.1」「期間限定」「SNSで話題」といった広告表現をうのみにせず、表示の根拠や販売条件を十分確認するよう呼び掛けている。