「農林水産省寄稿:後編」
前編では、食育基本法の改正経緯と、改正の4つのポイントのうち「食料安全保障の確保にもつながる食育へ」「学校での『農林漁業教育』を新たに規定」の2項目を取り上げました。後編では、残る2つのポイント「『大人の食育』が本格始動! 職場や大学も舞台に」「国・地方ともに取組を『見える化』して食育を推進」とともに、第5次食育推進基本計画に基づく今後の取組を解説します。
3つ目が、「大人の食育」運動の推進です。食育というと子供が対象というイメージが強いかと思いますが、朝食欠食率が高く栄養バランスの偏りが目立つ20歳代から30歳代の「働く世代」へのアプローチを強化する観点から、改正法では「大人」世代における食育の場として「大学」や「職場」を追加しました。また、民間企業を巻き込んだ食育を進めていくべく、官民の連携に関する規定が新たに追加されました。
農林水産省では、「大人の食育」を推進するために、昨年(2025年)6月に「官民連携食育プラットフォーム」を立ち上げており、様々な形で企業等が連携した食育活動を推進しています。本プラットフォームは朝食の欠食や栄養バランスを欠いた食生活、生産現場を知らない人の増加等の現代の食生活に関する課題の解決に向けた各種プロジェクト活動の活性化等を図っています。本プラットフォームの活動や参画企業の取組等については、公式SNSアカウントにて情報発信を行っております。
また、従業員に対し、食生活の改善に向けた取組等を行っている企業を顕彰する「食育実践優良法人顕彰」も実施しています。今年(2026年)4月に初めての認定となる「食育実践優良法人2026」に334法人を認定し、そのうち37法人の事例を取り上げ、事例集を作成し、横展開を図っています。
4つ目が、食育推進基本計画を通じたPDCAサイクルの確立です。食育推進基本計画においては、目標を設定し、その達成に向けて取組を行っていますが、特に第4次食育推進基本計画においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大や食料品等の物価高騰等の影響により、目標の多くは未達となっています。こうした状況を受けて、今回新たに、目標の達成状況について、毎年調査・公表を行うこと、そして、施策の効果に関する評価を踏まえて、計画を5年毎に変更することが法に明記されたことを踏まえ、PDCAサイクルに基づく取組を実施してまいります。
また、都道府県及び市町村において、食育推進基本計画を基本として、食育推進計画の作成に努めることが規定されていますが、地方公共団体での作成状況や取組の差が生じていることを踏まえ、それぞれの地方公共団体でどれくらい食育が取り組まれているかの「見える化」に関する規定が追加されました。

第5次食育推進基本計画は、改正食育基本法の趣旨を踏まえ、その理念や基本的施策等を具体化し、食育に関する施策を総合的かつ計画的に推進していくため、令和8年度からおおむね5年間を計画期間として、今年(2026年)の6月24日に食育推進会議で決定されました。5次計画では、今後5年間特に取り組むべき事項として、(1)学校等での食や農に関する学びの充実、(2)健全な食生活の実現に向けた「大人の食育」の推進、(3)国民の食卓と生産現場の距離を縮める取組の拡大を定めており、「農林漁業教育」や「大人の食育」等の推進を位置づけております。
また、5次計画では、国民にとってのわかりやすさ等の観点から、取組主体別に、①国民一人一人が自ら実践する目標(個人目標)、②地域等が主体となって取り組む目標(地域目標)に分類して整理しています。目標の達成状況については、調査・公表をするのみではなく、背景・要因の分析、評価等により、必要に応じた施策の見直しと改善を図るなど、PDCAサイクルを回すことで、目標の達成が図られるよう推進してまいります。