「筋膜専門なごみ鍼灸整骨院VIP会員」と称する継続的施術契約について、入会手続き後に解約しても原則として返金しないとする条項の削除を、適格消費者団体の消費者支援機構関西(KC’s)が運営会社に申し入れた。同社は条項を削除し、契約期間途中の解約に伴う返金に応じる運用に改めた。また、消費者の誤認を招くおそれがあるなどとして、ウェブサイト上の表示についても改善を要請した。KC’sは、契約条項と表示の改善が実施されたことを確認し、申入れ・要請活動を一旦終了した。消費者庁が8月25日、両者の協議が調ったことを公表した。
問題となったのは、「筋膜専門なごみ鍼灸整骨院VIP会員」と称する継続的施術契約。株式会社Indomitable(インドミテーブル)が「なごみ鍼灸整骨院」の名称で運営する事業で、「筋膜治療+筋膜ストレッチ+セルフケア指導」を行う。契約期間は3カ月、6カ月、9カ月の3コースがある。
KC’sは消費者からの情報提供を契機に調査を開始。2025年2月と11月に同社へ問い合わせ、回答や提供資料を検討した。その結果、契約書にある「入会手続き後の返金は、原則として出来ない」とする条項について、契約期間途中で解約しても解約後の期間の会費を負担することになるため、契約解除に伴う違約金を定めた条項に当たると判断した。
例えば、6カ月コースの消費者が入会から2カ月後に解約した場合、施術を受けた期間は2カ月間に過ぎないにもかかわらず、6カ月分のVIP会員料金を支払うことになり、解約後の4カ月分の料金を違約金として負担するのと同じ結果になるとKC’sは指摘した。
消費者契約法9条1項1号は、契約の解除に伴う違約金について、事業者に生じる「平均的な損害」の額を超える部分を無効としている。KC’sは、同契約では消費者が契約期間内に解約しても同社に契約解除に伴う損害は生じないとし、問題の条項は「平均的な損害の額を超える」違約金を定めたものとして無効になると指摘した。
KC’sは2026年2月27日、消費者契約法12条3項に基づき、条項の削除を求める「申入書兼要請書」を同社に送付。同社は条項を削除し、契約期間途中の解約に伴う返金に応じる運用に改めた。
また、ウェブサイト上の表示についても改善を求めた。従来、初回限定価格のキャンペーンについて、「予約枠に限りがある」ことや「残り予約枠」の人数を表示していた。しかし、期間中を通じて同じ人数が表示されているように見受けられたため、実際の予約状況を反映していない場合、消費者が「限られた人数だけが割引を受けられる」と誤認するおそれがあるとして、表示の中止か、予約状況に応じて更新していることの明示を要請。同社は「残り枠」の表示を取りやめ、ウェブサイトを改修した。
さらに、初回の施術時間が約60分、2回目以降が約30分となる点を明示するとともに、会員になった場合と会員にならない場合の料金を正確に比較できるよう、具体的で分かりやすい料金シミュレーションを示すよう要請した。同社は、以前は予約画面の「よくある質問」に記載されているだけだった初回と2回目以降の施術時間の違いを、料金案内ページに明記。料金シミュレーションについても、会員・非会員を比較した際の来院回数や単価に基づく計算根拠を示すよう修正した。
同社からは4月2日に回答があり、同月24日と27日には改善内容について補足説明を受けた。KC’sは6月、申入れや要請に沿った改善が実施されたことを確認した。