「エコ」表示、実態以上の印象に注意。プラ「削減率」不明が6割、景表法違反の恐れも。環境ラベル139種類を消費者庁調査

 商品パッケージなどに付けられる「エコ」「グリーン」「プラスチック削減」といった環境ラベルについて、具体的にどの部分が環境に配慮されているのか、どの程度の効果があるのかなどが明確ではない表示が少なくないことが、消費者庁の調査で分かった。同庁は、実際以上に環境への効果が高いと消費者に受け取られる表示は、景品表示法上の「優良誤認表示」に当たる恐れがあるとの考え方を示し、不当表示が疑われる事案には、迅速な指導や是正を含め厳正に対処する方針だ。

商品・サービスを選ぶ際、環境ラベルを「よく参考にする」「ときどき参考にする」と回答したのは3~4割だった(消費者庁資料より)

 消費者庁表示対策課が8月20日に公表した「環境ラベルに関する実態調査報告書」によると、調査では事業者のウェブサイトやECサイトなどで確認できる消費者向けの商品・サービスから、環境ラベル139種類を収集し、幅広い業種の事業者や事業者団体15者、第三者認証ラベルを運営する3機関に聞き取りを行ったほか、消費者1000人を対象に環境ラベルへの認識を聞いた。
 環境ラベルは、商品やサービスが環境に配慮したものであることを、マークなどを使って消費者に伝える広告表示の一種。限られたスペースでも視覚的に環境への配慮を訴えられるため、商品選びの際の目印として広く使われている。
 実際、消費者1000人へのアンケートでは、商品・サービスを選ぶ際、約3~4割が環境ラベルを「よく参考にする」または「ときどき参考にする」と回答。環境に配慮した商品を購入しようとする場合には、「よく参考にする」が8.5%、「ときどき参考にする」が33.8%に上り、計42.3%が環境ラベルを参考にすると回答した。環境への配慮が消費者の商品選択の1つの判断材料になっている実態が浮かんだ。
 一方で、環境ラベルが何を対象としているのか分かりにくいケースも確認された。139種類を調べたところ、環境配慮の対象範囲が明確だったのは119種類だったのに対し、20種類では明確になっていなかった。例えば、衣服のタグに、原材料として再生素材を使っていることを示す環境ラベルが表示されていても、再生素材を使用しているのが衣服そのものなのか、タグなのか分からないケースがあった。
 こうした曖昧(あいまい)な表示は、消費者に誤った印象を与える可能性がある。調査では森林保全への配慮を示す環境ラベルのサンプルを1000人に提示し、配慮の対象が商品なのか包装なのかを聞いたところ、44.5%が「商品(鉛筆)だと思う」と答え、29.2%が「商品と包装パッケージだと思う」と回答。合わせて73.7%が、環境配慮の対象に商品そのものが含まれると認識していることが分かった。
 再生プラスチックなど環境に配慮した原材料の使用割合にも課題がみられた。原材料などの環境配慮を訴えていた62種類のラベルのうち、具体的な数値を使って使用割合を明確にしていたのは33種類。一方、29種類、5割弱は使用割合を明確にしていなかった。
 例えば、食品の容器包装に「バイオマス素材を使用」とだけ表示しても、実際にどれだけ使われているのかは分からない。こうした表示を巡って事業者に聞き取りをしたところ、実際より使用割合が大きいと消費者に誤認されないよう具体的な割合を示していると説明する事業者がいる一方、商品ごとに割合が異なり、管理が煩雑になることなどを理由に割合を明記していない事業者もあった。
 また、消費者側の受け止めとの隔たりも鮮明になった。「この包装材料は再生プラスチックを使用しています」と書かれ、具体的な使用割合が示されていないサンプルについて聞くと、33.6%が再生プラスチックを「100%」使用していると回答。「50%~約100%」が23.3%、「50%程度」が16.1%で、合わせて73.0%が50%程度以上使われていると認識していた。
 さらに目立ったのが、石油由来プラスチックなどの「削減」を訴える表示。該当する環境ラベル25種類のうち、削減率を具体的な数値で示していたのは10種類、4割にとどまった。残る15種類、6割では削減率が明確ではなかった。
 さらに、食品の包装に、「外装プラ削減」などと記しながら、何%削減したのか示していないケースもあった。削減率を示さないサンプルについて消費者に聞いたところ、50.6%が削減率を「100%」だと思うと回答。「50%~約100%」の17.8%、「50%程度」の11.7%と合わせると、80.1%が50%程度以上削減していると受け止めていた。

 消費者庁は、こうした表示について、景品表示法上の考え方を整理。環境への効果が実際には商品やサービスのごく一部にしか及ばないにもかかわらず、対象範囲を明確にせず、商品全体や主要部分に環境効果があると消費者に誤認させた場合、優良誤認表示として同法上問題となる恐れがある。対象を説明する文字が小さく、目立たない場合にも誤認につながる可能性があるとして、文字の大きさや配置場所にも注意を求めた。
 第三者による「認証」を思わせる表示についても注意が必要だ。調査では、消費者が第三者認証ラベルを、事業者自身が付ける環境ラベルなどより信頼性が高いと認識する傾向がみられた。このため、第三者認証を受けていないにもかかわらず、あたかも認証を受けたラベルであるかのような表示をすれば、消費者に信頼性が高いと誤認させ、景品表示法上問題になる恐れがあるとしている。
 「エコ」や「グリーン」といった抽象的な言葉だけで環境への配慮を強調するケースにも警鐘を鳴らした。調査では4割強の環境ラベルで、訴えている環境配慮の内容が外見上明確ではなかった。「エコ」などの文字や自然をモチーフにしたイラストは視覚的な印象が強く、具体的な説明がない場合、消費者が実際以上の環境効果を推測する可能性がある。消費者庁は、実態との隔たりが大きければ優良誤認表示として問題になる恐れがあるとして、簡潔な説明文を併記するなど、具体的な環境効果が分かりやすく伝わる表示を求めている。
 環境に配慮した商品を積極的に選ぶ「グリーン志向」の消費が広がる中、環境ラベルは企業にとって商品の特徴を伝える重要な手段となっている。一方、環境に良さそうな印象だけが先行すれば、消費者の商品選択を誤らせることにつながりかねない。
 環境に配慮した商品の広告表示については、2001年に公正取引委員会が景品表示法上の考え方を示している。しかし、それから25年が経過し、環境意識の高まりとともに多種多様な環境ラベルが登場するなど、広告を取り巻く状況は大きく変化している。消費者庁は今回示した考え方について、環境省などと連携しながら事業者に広く周知する。不当表示が疑われる事案を確認した場合には、迅速に指導して是正を図ることを含め、景品表示法に基づいて厳正に対処する方針だ。

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