企業・消費者・行政の架け橋として。ACAP創立45周年式典開催

 公益社団法人消費者関連専門家会議(ACAP)は1月14日、創立45周年記念式典を開催した。坂田祥治ACAP理事長が冒頭の挨拶で、「ACAPは1980年に正会員152人が集まり設立した。設立時の趣旨には『消費者と企業の間に十分な信頼が確立していない』という課題が示され、『企業・消費者・行政の信頼関係の確立を目指す』という目的を持って活動を開始している」と創立当時のいきさつを紹介。「消費者運動との緊張感の高い時代に、対立ではなく理解と対話から信頼を築くという理念のもと、消費者対応部門の資質向上・情報共有・実務研修を積み重ねてきた。消費者対応部門は、単なる苦情処理から企業価値を高める重要な部門と進化し、会員企業が積極的にノウハウを共有することで消費者志向の取り組みを重ねてきた」とこれまでの歩みを振り返った。そのうえで、「強みを生かした新たな価値創造に挑戦し、価値共創の解像度を上げた取り組みを進めていきたい。『CXイノベーションを巻き起こす』を活動コンセプトに、社会や消費者の変化に対応した新しい価値を創造し、消費者・事業者・行政の架け橋として持続可能な社会の実現に貢献していきたい」と今後の展望を述べた。(原田恵理)

あいさつする坂田祥治ACAP理事長

 ACAPは、企業内のお客様相談部門などの消費者関連担当者を中心に構成される組織で、規模や業種を問わずさまざまな企業や団体が加入している。任意団体として活動を開始した1980年10月以来、企業の消費者志向経営の推進や消費者対応力の向上、消費者・行政・事業者相互の信頼の構築に向けて、研修や調査、消費者啓発活動や交流活動を行っている。1985年には任意団体を解散して社団法人となり、その後2012年に公益社団法人に移行。現在は480社が加入している(2025年12月時点)。
 組織の理念には3層構造のピラミッド型を想定し、「Value:行動指針」を土台に「Vision:目指す姿」を重ね、さらに頂点には「Mission:使命」を掲げている。行動指針には、①消費者の権利を尊重し、消費者の相談や苦情に誠実・公正に対応することで満足向上に努める②消費者啓発に役立つ情報を広く社会に発信し、消費者の自立を支援する③消費社会の課題を的確に把握し、消費者の期待や信頼に応え、消費者志向経営の推進に努める④消費者の声を企業のトップマネジメントや関連部門に伝え、商品・サービスの品質向上に努める⑤消費者市民社会の実現に向け、消費者・行政・事業者との連携と信頼の構築を図る―を挙げる。
 行動指針に基づいた活動の先に、「消費者志向経営を推進し、消費者市民社会の実現を目指す消費者志向事業者団体」となることを「Vision:目指す姿」として、「社会、経済の健全な発展と国民生活の向上に寄与する」ことを「Mission:使命」に掲げている。


 ACAPが近年の活動のコンセプトとしている「CX」とは、消費者が商品やサービスに触れるプロセスで感じる「顧客体験価値」のことで、ACAPでは、これを「あらゆる接点での双方向のコミュニケーションにより、消費者と事業者が『感動』と『信頼』でつながる継続的な良き関係を構築し、心豊かな生活と持続可能な社会の実現に寄与する取り組み」と再定義する。「CXイノベーションを巻き起こす」ことを目指して、同日の式典の第1部では「CXシンポジウム」が行われ、ACAP研究所長の佐藤雄一郎氏がCX推進に向けた調査成果を報告した。
式典の第2部では、1985年から実施している論文表彰「ACAP消費者問題に関する『わたしの提言』」の表彰式も行われた。


 同表彰は、消費者問題に関する啓発活動の一環として、ACAPが毎年募集している。今年度のテーマは、①これからの消費者教育②SNS時代の消費者トラブルをなくすためにできること③デジタル時代の情報リテラシー向上策について④待ったなし!今やるべきSDGs⑤明日の地球を救うため、消費者にできることグリーン志向消費~どのグリーンにする?⑥消費生活に関する自由課題-の6つで、5月1日~10月7日の期間で募集が行われ、今年度の応募数は67件だった。審査には、日本消費者教育学会会長の大藪千穂氏ら5人が選考に当たった。
 内閣府特命担当大臣賞には、仙台市立郡山中学校教員の高橋香織さん(宮城県)による「知的障がい者や高齢者に優しい消費生活のために」が、ACAP理事長賞には、一般社団法人日本エステティック協会会員の久米健市さん(愛知県)による「再発防止に向けた美容機器の販売・広告ルール再設計~HIFE被害を繰り返さないために~」が選出された。

続きを読むには会員登録が必要です

ニュース記事の全文をお読みいただくには、会員登録(購読申込)が必要です。