サプリメント規制で消費者団体ヒアリング。過剰摂取リスクあるグミ対象に、表示・救済制度までパッケージで要請

 いわゆる「健康食品」を含むサプリメント規制を検討している食品衛生基準審議会新開発食品調査部会は2月5日、消費者団体などからヒアリングを実施した。サプリメントの問題点に、過剰摂取や複数製品の併用、医薬品との誤認、長期接種による影響の把握の難しさといった課題が相次いで指摘され、健康被害情報の収集・報告と公表、GMP(適正製造規範)の義務化、容器包装への「サプリメント」表示や注意事項・注意喚起表示、さらには被害救済制度までをパッケージで求める意見が出た。前回論点となったグミ形状についても、過剰摂取につながる成分を含むものや食経験が乏しいものなどは規制対象に含めるべきとの声が目立った。サプリメント法の制定や医薬品でも食品でもない区分の創設を求める意見の一方で、日本は食薬区分が厳密で新たな区分設定が難しい、現行法の規制強化で対応すべきとの意見も出ている。(相川優子)

サプリメント法か既存法強化か。制度設計の難しさも浮上

主婦連合会過剰摂取、複数摂取、薬との飲み合わせなどを懸念

 主婦連合会の山根香織常任幹事(元会長)は、サプリメントの問題点として、健康食品・サプリメントに関する情報が日々氾濫し、消費者が本来確認すべき成分名や含有量を十分に確認できていない現状を挙げた。さらに、効果を期待して「食品だから大丈夫」と考え、多めに摂ったり、複数種類を併用したり、長期間摂取したりすることが健康被害の発生につながりやすく、いざ何か起きた際の原因究明を難しくしていると述べた。加えて、薬との飲み合わせや、医療機関を受診せず病気を悪化させる懸念もあるとし、健常者が「健康の維持・増進のために」摂取するものである前提が伝わっていない点も問題視した。
 制度面では「食品と医薬品の区分が曖昧になってきている」と問題提起。錠剤・カプセル・顆粒など、医薬品に似た形状の製品が食品として流通している現状は消費者にとって見分けがつきにくく、複雑な仕組みを消費者が理解したうえで適切に選べというのは現実的に難しい、との認識を示した。


健康被害報告・公表、GMP義務化。届出制・救済制度導入を提案

 こうした状況を踏まえ、規制の方向性として、特定成分を容易に過剰摂取し得る「サプリメント形状の食品全般」(いわゆる健康食品を含む)について、安全と品質を担保する厳格なルール導入が必要だと主張。サプリメントを、「錠剤・カプセル、顆粒といった形状の、医薬品でも一般食品でもない個別のカテゴリー」として位置づけることを求めた。
 具体策として、健康の維持・増進に資すると”うたう”ことについて、最終製品としての根拠を明確にする必要性を指摘した上で、健康被害情報の報告の義務化と情報公開、GMP(適正製造規範)の義務化、サプリメント販売事業者への届出制、さらに食品による健康被害の救済制度の検討開始を求めた。
 健康被害情報の公開については、因果関係が明確でない段階であっても、まずは被害拡大防止を第一に取り組むべきだと強調。義務表示に加えて、パッケージのキャッチフレーズや広告宣伝を含めたルールの明確化、違反是正の仕組みの導入、ネット通販の商品にも義務表示を徹底することを求めた。


全国消団連「目的×形状」で線引き。「サプリメント」表示義務化

 全国消費者団体連絡会の郷野智砂子事務局長は、健康をアピールする食品が溢れる中、消費者が健康増進や美容効果を求め、利便性や”楽をして”望みを叶えたいという心理から、思わせぶりな広告や巧みなうたい文句に引き寄せられやすいと指摘。制度は、消費者の行動実態を前提に設計すべきだと訴えた。
 定義は「使う人の見地(どう判断し、どう理解して使うか)」を重視し、サプリメントを「目的×形状」で明確に線引きすることを提案。健康の保持増進を「うたって販売される」ことを目的要件とし、形状要件として「カプセル・錠剤・粉末・濃縮エキス、一部のグミやタブレットなどを含め、過剰摂取のリスクがある特定の栄養素や成分を濃縮したもの」を提案した。
 効くかどうかが確かでない場合があっても、「うたって売られる」ことで消費者の期待が形成される点が重要と位置づけた。
容器包装の表面に「サプリメント」表記を義務化し、機能性表示食品・栄養機能食品と重なる場合は併記すべきと主張した。食べ方・飲み方、飲み合わせ、体調異変時の対応など、消費者が守るべき注意事項を分かりやすく示すことも求めた。


濃縮・健康うたうグミは対象に。注意喚起や売り場の切り分けも

 また、グミサプリやチュアブルのように一見お菓子に見える製品についても、「濃縮抽出され健康をうたって販売される以上はサプリメントとして区分すべき」と明言。特に子ども向け製品が存在することから、喉の詰まりや過剰摂取を含むリスクへの注意喚起を徹底する必要があるとした。加えて、サプリメントが「お菓子・おやつ感覚」で安易に摂取されないよう、売り場を一般食品と一緒にしないことや包装のお菓子との差別化(子ども受けするキャラクター利用を避ける等)を、メーカー・販売店へ通達すべきと、踏み込んだ提案をした。


グミ「成分」で“準サプリ”に。GMP努力義務を提案FOOCOM

 FoodCommunicationCompass(FOOCOM)の森田満樹代表は、サプリメントの定義を目的・成分・形状で整理することを提案した。目的は「健康の維持増進に“特別に役立つ”ことをうたって販売し、そのような効果を期待して摂られている食品」とし、成分・形状は、現行の機能性表示食品ガイドラインの考え方を援用。「栄養成分または天然由来の抽出物であって分画、精製、化学的反応等により本来天然に存在するものと成分割合が異なっているものまたは化学的合成品(天然抽出物等)を原材料とし、錠剤、カプセル剤、粉末剤、液剤等の形状である食品」を提案した。
 グミ形状については、売り場では「グミサプリ」として流通し、子ども向けにビタミン、ミネラル、ルテイン、DHAなどの成分のグミが販売されている。おいしいと過剰摂取につながる懸念があると指摘した。
 グミ等のうち、天然由来でも分画・精製等で組成が変わる抽出物や化学的合成品などを原材料とする場合を「サプリに準ずるもの(準サプリ)」と位置付けることを提案。サプリメントには、紅麹問題後に機能性表示食品・特定保健用食品のサプリメント形状で義務化されたGMPと健康被害情報の収集を義務付け、準サプリはGMPは努力義務としつつ、健康被害情報の収集は義務付けるという折衷案を示した。
 情報提供面では、新たに定義したサプリメントについて製品に「サプリメント」と表示する義務を置き、特定保健用食品・機能性表示食品・栄養機能食品などと併せて消費者が分かりやすい位置に示すことを提案。さらに、成分含有量、摂取方法、注意喚起表示をセットで求め、準サプリについても(特に子ども向けを念頭に)注意喚起表示の義務づけを求めた。


日本生協連リスクで線引きを。少量で食事以上摂取、濃縮、食経験

 日本生活共同組合連合会の早川敏幸・品質保証本部安全政策推進室長は、プライベートブランド商品でサプリメント形状の食品を開発したことはないが、生協全体ではサプリメント形状の食品を宅配や店頭で販売していると説明。
定義について「どんな製品が高リスクか」をまず整理し、その要因を持つ製品を幅広くサプリメント規制の検討対象にすべきと主張。高リスク要因として、通常の食事以上の量を少量単位で摂取できること(過剰摂取につながりやすい)、製造工程に濃縮等の工程を含むことのほかに、食経験が乏しいことを挙げた。


過剰摂取につながるグミ対象に。GMP義務化、識別できる表示不可欠

 菓子形状(グミ等)であっても、特定成分の過剰摂取につながる場合は、規制対象とすべきとの考えを示した。
 規制内容としては、特定保健用食品や機能性表示食品のサプリメント形状で要件化された流れも踏まえ、「311通知」のGMP部分を、高リスク製品には同等に義務化することを提案。311通知では原材料の安全性点検や製品設計のガイドラインも整備されていることから、製造管理にとどまらず、原材料・製品設計まで含めて規制を強めることが長期的健康影響の未然防止につながると強調した。さらに将来的には、新規性が高く食経験が乏しい食品について、安全性評価を義務とする方向も検討すべきとの問題意識も示した。
 あわせて、規制強化の対象となる製品は、消費者が分かるように表示等を通じた情報提供が必要だと述べた。仮にGMPを事業者の自主的取組に委ねる部分が残る場合でも、消費者が「対応済み製品」を識別できる仕組みが必要で、真面目に安全性評価やGMPに取り組む事業者が報われ、消費者も見分けられる制度設計を求めた。


通販協会市場規模大きく。ルール設計産業・消費者に影響

 日本通信販売協会の万場徹専務理事は、サプリメント市場(1兆1000億円)のうち、機能性表示食品や特定保健用食品などの保健機能食品が3500億円。「いわゆる健康食品」が7500億円と制度外市場が大きくなっていると説明。協会のサプリメント部会は売上合計が約3000億円規模で、利用者基盤も大きいとし、サプリメント市場全体も大きく成長してきた一方、紅麹事案等の影響で足元では市場が低迷しているとの認識を示した。流通面では通信販売の比重が高く、顧客と直接つながりアフターサービスも担うため、規制や制度変更は事業者と消費者の双方に大きな影響を与えると述べた。


定義は「権利と義務」セットで。保健機能食品拡充とサプリメント法提言

 ファンケル総合研究所の寺本祐之所長は、諸外国では「定義」が単独で存在するのではなく、消費者の適切な選択に資する表示ルール(権利)と、品質・安全を担保する製造基準や健康被害報告対応(義務)がセットで設計されている点を紹介した。日本ではサプリメントの法的定義がなく、機能の表示が許される枠組みは保健機能食品に限られるため、今後定義を定める場合には、消費者保護と事業者の権利義務、一般食品とのバランスなどを十分に考慮すべきと主張した。
 規制の方向性として、短期的には保健機能食品制度の拡充を重視し、制度外に大きく広がっている「いわゆる健康食品」市場を、よりルールのかかる制度側へ移していく発想を示した。その上で中長期的には、複雑な課題を整理する枠組みとしてサプリメント法の制定を提言した。
 規制強化だけを進めると、定義から外れた商品が「アンダーグラウンド」化し得ることや、結果として市場全体の縮小につながる懸念を示した。
 GMP(製造管理)については、サプリメントがOEM製造に委託されるケースが多い業界構造を踏まえ、製造販売者だけでなく、原料工場・OEM工場でのリスクコントロールが重要だと述べた。サプリメントのGMPは業界ルールとして推奨され、多くのOEM工場で実装されている一方、過度な規制強化はサプライチェーンやコスト、消費者負担に影響し得るとして慎重な検討を求めた。
 また、GMPを広げる場合でも、要件が厳格化すれば原料メーカーも含めた対応が必要になり、負担が大きくなる。実装可能性は「要件次第」で大きく変わる、との見立ても示した。


「サプリメント法」か、既存法の強化か。制度の枠組みも論点に

 サプリメント法については、委員から「制定は非常に必要」との意見が出た。主婦連の山根常任幹事は、「食品と薬を分けてサプリメントを位置付けることを求めており、グミのようなお菓子形状のものを定義に含めることで曖昧になることを懸念している。グミは別途規制が必要」と主張した。
 一方で、森田FOOCOM代表は、サプリメント法によりサプリが多用される社会になる懸念や、かえって規制の「こぼれ」が増える懸念を挙げ、食品表示法・食品衛生法の枠内で改善できる可能性を指摘し、慎重な検討を求めた。
曽根博仁部会長(新潟大学大学院医歯学総合研究科血液・内分泌・代謝内科学分野教授)は、我が国は食薬区分が厳密で、所管官庁・法体系が異なることから、食品でも医薬品でもない新たな区分を作るのは現実的に難しいのではないかとの実感を述べている。
 委員からは健康被害は急性だけでなく、長期摂取による慢性影響も把握・防止する仕組みが重要との指摘も出ている。
曽根部会長は最後に、立場を超えて「定義・区分の明確化」と「ルール作りの必要性」が共有されたと総括した。形状、成分、食経験、含有量といった複数要素をどう組み合わせて区分するのか、製造から販売・表示、健康被害情報までをどう連動させるのか、課題は多い。
 次回は、2回のヒアリングで得られた意見を踏まえ、事務局が検討の方向性を示す。諸外国の法制度についても詳細を報告するとしている。

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