消費者庁は7月17日、食品表示法に基づく食品表示基準の一部改正について、消費者委員会へ諮問した。改正の対象となるのは栄養機能食品の表示制度で、栄養成分の下限値・上限値、栄養成分の機能を示す表示文言、摂取する際の注意事項などを最新の科学的知見に合わせて見直す。制度創設から20年以上が経過する中、現在の栄養学やエビデンス(根拠)を反映した表示へ改めることで、消費者がより適切な情報に基づいて商品を選択できる環境づくりを目指す。
栄養機能食品制度は2001年に創設された。国が定めた基準量のビタミンやミネラルなどを含む食品について、その栄養成分が体内で果たす働きを一定の範囲で表示できる制度だ。特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品とは異なり、個々の商品ごとの届出や審査は不要で、基準を満たせば事業者が機能表示を行える仕組みとなっている。
制度開始以来、機能表示が認められる栄養成分の追加や、栄養成分量の基準となる下限値・上限値については見直しが行われてきた。だが、表示できる機能の文言や摂取時の注意事項については長年改正されておらず、制度創設当時の内容が現在も使用されているものが少なくなかった。
こうした状況については、令和元年度に実施された「栄養素等表示基準値の改定に関する調査事業報告書」でも、現在の「日本人の食事摂取基準」に示された科学的知見と、食品表示基準に定められた機能表示の文言との間に乖離(かいり)が生じていることが指摘されていた。科学的根拠の更新に制度が十分追いついていないことが課題となっていたのが現状だ。
このため消費者庁は、有識者による「栄養機能食品に関する検討会」を設置し、制度の見直しを進めてきた。検討会では、①栄養成分の下限値・上限値②栄養成分の機能表示の文言③摂取する上での注意事項―の3項目を中心に議論を重ね、2025年度に取りまとめを公表。今年6月22日に開催された2026年度検討会では、摂取時の注意事項についても追加的な議論が行われている。今回の諮問は、これらの検討結果を踏まえて実施された。
改正では、食品表示基準別表第11に規定される「機能を表示できる栄養成分」に関する内容を中心に見直す予定で、科学的根拠に基づく分かりやすい表示へ改めることが柱となる。消費者にとっては、栄養成分の働きをより正確に理解し、商品選択に役立てやすくなることが期待される。一方、食品事業者にとっては、表示内容の変更やパッケージ改訂などへの対応が求められる可能性がある。
近年は健康志向の高まりを背景に、サプリメントや栄養補助食品を日常的に利用する消費者が増えている。一方で、機能性表示食品やトクホ、栄養機能食品の違いが十分理解されているとは言えず、表示制度全体の分かりやすさを求める声も少なくない。今回の見直しは、単なる表示文言の修正にだけではなく、消費者が科学的根拠に基づいた情報を正しく理解し、自ら適切な商品を選択できる環境整備につながるかが注目される。
今後は消費者委員会食品表示部会で審議が進められ、その答申を経て食品表示基準の改正手続きが行われる見通し。表示制度の信頼性向上と、消費者への適切な情報提供を両立できる制度改正となるか、その行方が注目される。