消費者庁は10月23日、第9回「取引デジタルプラットフォーム官民協議会」を開催し、インターネット通販などの取引の場を提供するプラットフォーム事業者による消費者保護の取組状況を議論した。2022年5月に施行された取引デジタルプラットフォーム消費者保護法の運用状況を検証するとともに、財務省が税関における通販貨物の水際取り締まりについて説明した。ネット通販の利用が定着する一方、販売業者による不適切な表示や取引上のトラブルへの対応は引き続き課題となっている。今後は、プラットフォーム事業者の自主的な取り組みを消費者被害の防止と救済にどう結び付けるかが焦点となる。
昨年11月の第8回協議会では、消費者トラブルの実態とプラットフォーム事業者の対応が議論された。消費者庁への申し出は2024年度に法施行後最多となり、広告表示や取引の履行段階における販売業者の行為が問題として指摘された。
消費者団体からは、商品の広告表示が後から修正される場合があることを踏まえ、過去の表示内容を適切に保存し、トラブル発生時に確認できる仕組みを求める意見が出された。また、インターネット上の問い合わせだけでなく、電話や対面などによる相談手段の充実を求める声も上がっている。
こうした指摘の背景には、プラットフォーム上で商品を購入した消費者が、問題発生時に販売業者と連絡が取れず、十分な説明や救済を受けられないという課題がある。
第9回では、プラットフォーム事業者による出品者管理や苦情対応などの取り組み状況が示された。
2025年度に実施された調査では、回答した28社すべてが苦情受付窓口を設けて調査を実施。また、25社がアカウント登録時に公的書類の提出を求め、18社が登録者の氏名・名称と銀行口座の名義の一致を確認していた。一方、法に基づく取り組みを開示している事業者は17社にとどまっている。
本人確認や苦情対応の仕組みが整備される一方、その運用状況を消費者がどこまで把握できるかという透明性の問題も残る。事業者による自主的な対応が、実際にどの程度の被害防止や救済につながっているのか、継続的な検証が求められる。
今回の協議会では、財務省が通販貨物の水際取り締まりについて説明した。海外の販売業者から直接商品を購入できる越境電子商取引(越境EC)が広がる中、国内のプラットフォーム上での出品管理だけでなく、輸入段階での安全確保も重要な政策課題となっている。
会議には、アジアインターネット日本連盟、セーファーインターネット協会、オンラインマーケットプレイス協議会が資料を提出したほか、危険な製品の流通防止に向けた「製品安全誓約(日本国)」の2025年年次報告書も参考資料として示された。
海外販売業者による取引では、消費者が相手方の実態を把握しにくく、トラブル発生時の責任追及や救済が難しくなる場合がある。プラットフォームによる販売業者の確認、危険商品の出品削除、税関による水際取り締まりをどう組み合わせるかが、今後の検討課題となりそうだ。
取引デジタルプラットフォーム消費者保護法は、販売業者と消費者の連絡手段の確保や苦情処理、販売業者の身元確認などについて、プラットフォーム事業者に必要な措置を講じる努力義務を課している。また、一定の条件の下で、消費者が販売業者の情報開示を請求できる制度も設けている。
ただ、対応の具体的な内容は事業者の自主的な取り組みに委ねられる部分が大きい。相談窓口の設置や本人確認が進んでも、被害の発生を防ぎ、発生後に迅速な救済を実現できるかは別の問題だ。
今後の議論では、消費者からの申し出に対する対応状況、販売業者情報の開示制度の利用実態、悪質な出品者への措置などを検証する必要がある。自主的な取り組みの改善で対応できるのか、制度上の見直しが必要なのかも、中長期的な論点となる。