食品表示のデジタル化、容器包装に残す表示を検討。第2回食品表示懇談会

 消費者庁は10月2日、第2回令和8年度食品表示懇談会を開催した。今年度は「食品表示へのデジタルツールの活用」と「諸外国との表示制度の整合性」の2つをテーマに議論している。
 7月の第1回では、消費者庁が、容器包装上の義務表示事項の一部を省略し、デジタル表示で代替する仕組みを想定していると説明した。第2回では、具体的な検討に向け、加工食品、生鮮食品、添加物の現行の表示ルールや、表示を省略できる場合などを整理した。さらに、日本とコーデックス、EU、米国、中国の表示制度を比較し、今後の検討項目を確認した。


 消費者庁が示した現行制度では、一般用加工食品の場合、名称、原材料名、添加物、内容量、消費期限・賞味期限、保存方法、表示責任者、製造所、栄養成分、アレルゲンなど、多くの事項の表示が義務付けられている。
 一方、容器包装の表示可能面積がおおむね30㎠以下の場合など、一定の条件で表示を省略できる規定もある。原材料名や添加物、栄養成分、原料原産地名などについて、それぞれ省略できる場合の条件が定められている。
 また、食品表示法第6条第8項に基づく内閣府令では、アレルゲンや消費期限、食品を安全に摂取するために加熱が必要かどうかなど、摂取する際の安全性に重要な影響を及ぼす表示事項が定められている。
 消費者庁は、デジタル表示について、容器包装から一部の義務表示事項を省略する一方、デジタル上では全ての義務表示事項を確認できる仕組みを想定していると説明した。今後はこうした現行制度を踏まえ、どの義務表示事項を容器包装に残すのかを検討する。

 委員からは、デジタル化を単に容器包装の情報をスマートフォンに移すだけの仕組みにしないことを求める意見が相次いだ。

 全国消費者団体連絡会の廣田委員は、現在の食品表示について、多くの情報が限られたスペースに記載され、文字も小さいため、高齢者や視力の弱い人を含め、安全性に関わる重要な情報が埋もれがちだと指摘した。デジタル化によって容器包装の表示スペースに余裕を生み、重要な情報をより見やすくする方向で検討する必要があるとした。

 また、オール日本スーパーマーケット協会の中村専務理事は、容器包装には安全性に関わる情報などを残すべきだとの考えを示した。一方、保健機能食品など、表示する情報量が多い分野ではデジタルを活用する余地があると指摘した。また、容器包装の表示は文字が小さく、情報量も多いため、消費者の誤解や誤認につながるおそれがあるとして、ピクトグラムなどを活用して表示をシンプルにし、詳細な情報をデジタルで提供する方法を提案した。

 一方、食品産業センターの大隅委員は、デジタル化には包材の切り替えだけでなく、消費者に提供する情報を整理・管理するための事業者側の負担が生じると指摘。日本農林規格協会の島﨑委員も、事業者にとって使いやすい仕組みにする必要があるとした。

 食品表示法だけでなく、計量法や健康増進法など、他の法律にも食品の表示に関する規定がある。委員からは、他法令で容器包装への表示が求められている事項について、食品表示のデジタル化をどのように整理するのかとの質問が出た。
 消費者庁は、他法令が関係するからといって、デジタルによる代替が難しいと決まっているわけではないと説明した。一方、まずは食品表示基準の中で整理しつつ、消費者庁だけでは対応できない他法令との関係も考慮する必要があるとした。

日本と海外、表示ルールには大きな違い

 国際整合性については、日本とコーデックス、EU、米国、中国の加工食品の義務表示事項を比較した資料が示された。
 例えば原材料表示では、日本は原材料と添加物を区分して重量順に表示するのに対し、コーデックス、EU、米国、中国では原材料と添加物を合わせて重量順に表示する仕組みとなっている。
 また、原材料と添加物を合わせた重量が一定割合未満の場合、順不同で表示できる制度があり、EUは2%未満、米国と中国は2%以下としている。日本とコーデックスには、同様の規定はない。
 添加物についても、日本では一部を一括名で表示できるほか、8種類の用途については用途名を併記することが義務付けられている。これに対し、コーデックス、EU、中国では、用途名表示の対象が、それぞれ25種類、24種類、22種類。米国では、保存目的で用いる添加物に用途名を併記する。
 アレルゲンの対象も国によって異なる。日本では特定原材料9品目を義務表示とし、特定原材料に準ずるもの20品目を推奨表示としているのに対し、EUや米国、中国では日本とは異なる品目が対象となっている。

 消費者庁は、日本の制度と諸外国の制度を比較した上で、今後の主な論点として、原材料と添加物の区分表示、水の表示、原材料の順不同表示、添加物の一括名表示、添加物の用途名表示、食物アレルギー表示、原材料の量的表示、栄養成分の量・熱量表示を示した。

消費者庁が例示したカレールーの原料(添加物)の表示。日本語に訳して比較したもの。同じ品目の類似商品でも、国によって表示の文字量に大きな違いがあることが分かる。

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