地域の教育資源の有効活用に向けて。消費者教育推進会議分科会、消費者庁

 消費者庁は1月28日、「第1回地域における消費者教育の推進に向けた地域ネットワーク構築・強化に関する分科会」を開催した。同分科会は、12月の第43回消費者教育推進会議の中で、今期(第7期)の検討事項として挙げられた課題を集中的に審議するために設置された。分科会のメンバーは、第7期の委員の中から選出され、推進会議会長の大藪千穂委員(東海国立大学機構岐阜大学副学長)が座長を兼任する。第1回目の分科会では、同庁消費者教育推進課課長の黒田啓太氏から「地域の消費者教育の現状」について、地方自治体の消費生活部局に対して行ったアンケートの結果などが報告された。地方公共団体からのヒアリングでは、青森県による地域の高齢者見守りのための「相談窓口紹介ネットワーク」の取り組みや、岐阜県の消費者教育コーディネーターによる既存の人脈を活用した活動事例、奈良県が複数の機関と連携することで実現させた「主にお金にまつわる教育に関する出前授業」などが紹介された。(原田恵理)


 同分科会では、あらゆるライフステージの多様な消費者を対象とした消費者教育の機会を創出することを目的に、地域での教育資源を有効に活用し、地域ネットワークを構築し強化する方策を検討していく。具体的には、各地域で消費者教育コーディネーターが十分にその役割を発揮し、金融・情報・エシカル消費などのさまざまな領域を視野に入れながら、関連する団体や既存ネットワークなどとの連携を強化できるよう、現状の把握や課題の抽出、対応等の検討を行う。
 分科会に先立って地方自治体の取り組み状況を概観しようと、同庁では、今年度11月~12月に、47都道府県、20政令市、62中核市の消費生活部局を対象にアンケート調査を実施。結果が報告された。
 消費者教育推進計画の策定に基づいた事業を実施するうえで、庁内外で連携しているかを聞いた問いでは(複数回答)、庁内では「消費生活相談員」「福祉関係部局」「環境・資源循環関係部局」「産業労働関係部局」の順に連携先が挙がった(「その他」を除く)。庁外では、「教育委員会」「金融広報委員会」「消費者団体」「警察」「弁護士会」「見守りネットワーク」などが挙げられた。
 消費者教育推進計画でKPI(目標に対する進捗状況を定量的に評価するための指標)実現に向けた事業について尋ねたところ、学校や地域に向けては▽出前授業▽出前講座▽セミナー▽学習会-の実施などが挙げられた。関連機関や団体とのネットワーク構築に向けては▽研修▽意見交換会▽市町へのヒアリング▽参加型イベント-などがみられた。


 自治体からのヒアリングでは、青森県が「相談窓口紹介ネットワーク」を報告した。日ごろから高齢者に関わる団体が各市町村と連携し、活動中に高齢者たちから消費生活に関する悩みなどを見聞きした際に、消費生活センターに案内して相談に結びつけるという取り組みだ。民生委員や社会福祉協議会、包括支援センターなどが、日頃の見守りの中で高齢者の小さな変化にも気を配る。同県では2018年度までに県内全域で同ネットワークを構築。今後はこの取り組みを、消費者安全確保地域協議会に移行していく考えだ。
 岐阜県は、県立商業高校の校長OBが消費者教育コーディネーターに就任し、それまでの人脈や経験、専門知識を存分に発揮することで、消費者教育の幅が広がった。教育委員会や市町村、企業や大学などに積極的に出向き、企画調整などに取り組むことで、消費生活に関連する法律や食品ロス削減などをテーマに、数多くの出前講座を実施している。中学や高校、大学の教員に向けたカリキュラム開発などにも積極的に関わっているという。
 奈良県では、消費生活センターが金融広報委員会の事務局も担っている。金融教育を推進する方法を模索する中、金融経済教育推進機構(J‐FLEC)、奈良財務事務所や奈良税務署、年金事務所や選挙管理委員会事務局などのさまざまな行政機関が個別に出前講座を行っていることを知り、「ひとつのチラシにまとめてはどうか」というアイディアが生まれたという。「お金に関する知識や判断力」をテーマに学びたいならJ-FLECに、日本の財政の現状を学び、国の予算案を作る体験をしてみたいなら財務事務所に、といったように、出前授業を依頼したい機関のQRコードを記載したチラシを作り、読み込むと申し込みサイトに飛ぶ仕組みを構築した。複数機関のコラボレーション授業も可能で、教師のニーズに可能なかぎり寄り添って実施するという。今後は弁護士会や司法書士会などとの連携も視野に入れ、教師の手を煩わせない消費者教育の実現を目指す。

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