生成AIなど人工知能(AI)の利用が急速に広がる中、消費者が安全かつ適切に技術を活用するための環境整備が課題となっている。消費者委員会は10月8日、第11回「人工知能(AI)技術の利用と消費者問題に関する専門調査会」を開き、これまでの検討状況を整理するとともに、消費者によるAI技術の適切な利用に向けた課題について議論した。
専門調査会では、事務局から「専門調査会の検討状況(案)」が報告されたほか、NTT社会情報研究所の秋山満昭上席特別研究員から意見を聞いた。
専門調査会は、AI技術の利用が今後さらに拡大することを見据え、現在生じている消費者問題だけでなく、将来起こり得る問題も対象に検討を進めている。AI技術の健全な社会実装に向け、課題を整理し、必要な対応策を取りまとめることを目的としている。
生成AIは、インターネット上の情報検索や商品比較、旅行計画、文章作成など、消費者の日常生活に幅広く利用されるようになっている。従来は自分で複数のWEBサイトを調べていた情報収集も、AIに質問することで短時間に回答を得られるようになった。
一方、AIが示す回答には誤りが含まれる可能性がある。実際には存在しない商品情報や不正確な契約条件などが、もっともらしい文章で提示された場合、消費者が内容を確認せずに購入や契約を判断してしまうおそれがある。
また、AIが利用者の希望や過去の行動に応じて商品を推薦する仕組みが広がれば、消費者がどのような情報を基に勧められているのか理解できないまま、選択に影響を受ける可能性もある。
こうした問題への対応には、消費者自身がAIの特徴や限界を理解することが重要になる。ただし、利用者の注意だけで全てのリスクを防ぐことには限界があり、AIを提供する事業者による情報提供や安全対策も欠かせない。
特に、消費者がAIの回答を過度に信用しないようにするための啓発や、重要な契約判断にAIを利用する際の注意点をどう伝えるかは、消費者教育の新たな課題といえる。
AI技術には、情報へのアクセスを容易にし、消費者の選択肢を広げる利点もある。利便性を損なわず、誤情報や不適切な利用による被害をどう防ぐかが問われる。
専門調査会は今後、これまでの検討を踏まえて必要な対応策の整理が進められる。