
「置くだけで黒カビを防ぐ」「通常価格から1万円引き」「有効期限は今月末まで」―。商品やサービスの広告には、消費者の関心を引くさまざまな表示が使われています。では、どのような広告表示が法律に違反するのでしょうか。
広告などの不当な表示を規制する法律に「景品表示法」があります。景品表示法に違反すると消費者庁が判断し、措置命令を出した事例を実際に見ながら、「優良誤認」と「有利誤認」という2つの言葉への理解を深めていきましょう。
2025年8月、消費者庁は、P&Gジャパン合同会社の「ファブリーズ お風呂用防カビ剤」の表示について、措置命令を出しました。
同社は商品パッケージに「お風呂に置くだけで黒カビを防ぐ」「防カビ効果は約6週間持続します」などと表示していました。消費者庁は、商品を浴室に置くだけで、約6週間にわたり浴室全体のカビの繁殖を防ぐ効果が得られるかのような表示をしていたと指摘しました。表示の裏付けとなる資料の提出を求めましたが、提出された資料は、表示の合理的な根拠を示すものとは認められませんでした。
同年12月、スマートフォンやタブレット端末向けのコーティング剤を販売するSB C&Sに措置命令が出されました。同社は商品に「強固なガラス被膜でキズから対象製品を保護」「防キズ」「抗ウイルス・抗菌」などと表示していました。
消費者庁は、こうした表示について、コーティング剤を塗布することで、傷の発生を防いだり、細菌の増殖を抑制したり、特定のウイルスの数を減少させたりする効果が得られるかのように表示していたと指摘しました。しかし、提出された資料は、表示の合理的な根拠を示すものとは認められませんでした。
このように、商品の品質や性能、効果について、実際よりも著しく優れていると消費者に誤認させる表示は「優良誤認表示」に当たり、景品表示法で禁止されています。
価格や割引、キャンペーンの期間など、商品やサービスの取引条件に関する表示も、景品表示法の規制対象になります。
2025年9月、消費者庁は、ジャパネットたかたの「2025 特大和洋おせち2段重」の価格表示について、措置命令を出しました。
同社は自社ウェブサイトで「ジャパネット通常価格29,980円が」「1万円値引き 7/22 ~11/23」「値引き後価格19,980円」などと表示。セール期間終了後には通常価格で販売されるかのように示し、期間中は1万円値引きで購入できるかのように表示していました。
しかし、実際には、セール期間終了後に2万9980円で販売するための合理的かつ確実に実施される販売計画はありませんでした。消費者庁は、通常価格として示した金額は、将来の販売価格として十分な根拠があるものとは認められないと判断しました。
2026年3月には、エステティックサロンを運営する3社にも措置命令が出されました。対象となったのは、「エステティック ミス・パリ」を運営するシェイプアップハウスとミス・パリ・ジェイピーエヌ、「スリムビューティハウス」を運営するスリムビューティハウスの3社です。
3社は、予約サイト「HOT PEPPER Beauty」に掲載したクーポンに有効期限を表示し、期限内に申し込んだ場合に限り割引価格で施術を受けられるかのように示していました。しかし、実際には、クーポンの期限後に申し込んでも、期限内と同じ割引価格で施術を受けることができました。
価格や割引条件について、実際よりも著しく有利であると消費者に誤認させる表示は「有利誤認表示」に当たり、優良誤認表示と同じく景品表示法で禁止されています。
広告に書かれた商品の効果や性能、価格や割引が、実際の内容と一致しているかを見極めるのは難しいですが、「優良誤認」「有利誤認」という言葉から、広告表示を見るときの視点を広げてみましょう。
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