公益通報者への報復に刑事罰。解雇・懲戒の立証責任転換。フリーランスも保護対象に、消費者庁が新指針を周知

 企業などの不正を告発した人への報復を防ぐため、公益通報者保護法の改正法が12月1日に施行される。通報を理由に解雇や懲戒処分を行った場合の刑事罰を新設するほか、通報後1年以内の解雇・懲戒は報復によるものと推定する規定を導入。保護対象にはフリーランスも加えた。消費者庁は10月30日、改正法に対応した法定指針の解説動画を公表し、企業や行政機関に内部通報体制の整備を促している。


 改正法は2025年6月に成立・公布された。通報者への不利益な取り扱いを防ぎ、企業が不正を早期に発見・是正できる制度の実効性を高めることが狙いだ。
 大きな柱となるのは、通報者に対する報復行為への刑事罰の導入。公益通報を理由に解雇や懲戒を行った個人には、6カ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科される。法人にも3000万円以下の罰金を設け、組織ぐるみの報復を抑止する。


 民事訴訟での通報者の負担も軽減。これまでは、解雇や懲戒が通報を理由とするものだと通報者側が立証することが難しかったが、改正法では、通報後1年以内に行われた解雇・懲戒について、通報を理由としたものと推定。事業者側が、通報とは無関係な処分であることを立証しなければならなくなる。


 保護対象の拡大も今回の改正の特徴。従来の労働者や退職者、役員などに加え、企業と業務委託関係にあるフリーランスや、委託関係の終了から1年以内のフリーランスも対象になった。公益通報を理由とする業務委託契約の解除など、不利益な取り扱いを禁止ためだ。
 さらに、事業者が労働者らに対し、正当な理由なく「公益通報しない」と約束させるなど、通報を妨げる行為を禁止。違反して結ばれた合意は無効になる。通報者を特定する目的で不当な調査を行う「通報者探し」も禁止対象だ。


 企業の内部通報体制に対する監督も強化。常時使用する労働者が300人を超える事業者には、公益通報対応業務の従事者を指定する義務がある。改正法では、義務違反に対する命令制度を新設し、命令に従わない場合は30万円以下の罰金が科される。行政による立入検査権限も新たに設けられた。
 また、内部通報窓口や対応体制について、従業員らへの周知を事業者の義務として明確化した。制度を設けるだけでなく、実際に利用できる環境を整えることが求められる。


 公益通報は、食品の安全性や製品の品質、不当表示など、消費者の生命や財産に関わる不正の発見にもつながる。内部で把握された問題が適切に通報され、是正されれば、消費者被害の未然防止や拡大防止にも役立つ。

改正公益通報者保護法への理解を深めてもらうため、消費者庁ではパンフレットや動画を制作している

続きを読むには会員登録が必要です

ニュース記事の全文をお読みいただくには、会員登録(購読申込)が必要です。