経済産業省は10月30日、2026年度「製品安全対策優良企業表彰(PSアワード)」の企業・組織部門での受賞企業・団体9社と、製品部門「+あんしん」の受賞製品5製品を発表した。PSアワードは今年度で20回目。経済産業大臣賞にはシェアサイクルサービスを運営する福岡市のチャリチャリ株式会社が選ばれた。また、「+あんしん」では、落下や衝撃による発火リスクを低減した半固体モバイルバッテリー(エレコム株式会社)や、苦み成分を塗布して誤飲リスクを低減したコイン形リチウム電池(パナソニック エナジー株式会社)などが受賞した。
PSアワードは、企業・団体による製品安全の優れた取り組みを表彰する制度。製品安全を重要な価値として社会に定着させることを目的に、2007年度から実施している。
消費生活用製品に関わる製造事業者、輸入事業者、小売販売事業者、団体などを対象に、安全な製品を製造・販売(輸入)するための取り組み、製品を安全に使用してもらうための取り組み、出荷後に安全上の問題が判明した際の対応、製品安全文化の構築などを審査する。製品そのものではなく、企業・団体全体の製品安全への取り組みを評価する。
経済産業大臣賞に選ばれたチャリチャリ株式会社(製造事業者・輸入事業者部門)は、自転車の走行ログなどのデータを事故原因の分析に用いている。また、保守点検などで判明した不具合を、次期ロットの設計や仕様に速やかに反映。中国の製造工場と国内倉庫、二重で全数点検を実施しているほか、事故対応の専門チームを設けている。
技術総括・保安審議官賞には、株式会社アシックスとパナソニック エレクトリックワークス株式会社(製造事業者・輸入事業者部門)、株式会社ジャパネットホールディングスと株式会社セリオ(小売販売事業者部門)の4社が選ばれた。
技術総括・保安審議官賞を受賞したパナソニック エレクトリックワークス株式会社は、独自のリスクアセスメントシステム「NRAS」を構築し、データや事例を一元管理している。懸念されるリスクの可視化などにより、リスクアセスメントの属人化からの脱却を図っている。また、商品企画から詳細設計までの各段階でリスクアセスメントを実施し、専門の担当者と責任者が二重に確認している。
照明の電源回路などに使う購入電子部品については、年間計画に基づき、X線や断面観察による内部構造解析を定期的に実施。過去のサンプルとの差異や懸念される構造が見つかった場合は、供給元に確認し、必要な是正を求めることで、品質変化や「サイレントチェンジ」を監視している。
審査委員会賞の優良賞には東芝ライフスタイル株式会社とライオン株式会社、特別賞には一般財団法人ボーケン品質評価機構と楽天グループ株式会社が選ばれた。

製品部門の「+あんしん」は、消費者の誤使用などによる事故の未然防止に役立つ機能を持つ製品にマークを表示し、消費者が安全な製品を選択できるよう支援する表彰・表示制度。昨今、死亡・重傷事故などの重大製品事故の発生件数が1000件を超える水準で推移しており、そのうち約3割は消費者の誤使用や不注意などによることを背景に、2025年度に新設された。今年度は2回目の表彰となる。
受賞した半固体モバイルバッテリーは、半固体電池を採用した製品。落下や圧迫、衝撃によって内部セルが損傷した場合の発火リスクを低減する。
苦み成分を塗布したコイン形リチウム電池は、電池本体に苦み成分を塗布することで、誤飲のリスクを低減した。
このほか、車いす用電動昇降機(株式会社いうら)は、テーブル位置や遮断棒、スロープ、ブリッジを機械的に連動させる仕組みで転落リスクを低減。蒸気レスVE電気まほうびん(タイガー魔法瓶株式会社)は蒸気口の廃止と蒸気レスセンサーでやけどのリスクを低減した。電気カーペット・電気毛布(パナソニック株式会社リビングケアビジネスユニット)は、ヒーター線の機械的耐久性や熱的余裕度を向上させる設計と実使用を想定した評価により、発煙・発火・火災のリスクを低減した。
表彰式は11月12日午後1時から、イイノカンファレンスセンター(東京都千代田区)で開催する。トークセッションやパネルディスカッションのほか、PSアワード20周年を記念し、過去の受賞企業・団体による製品安全の取り組みを紹介する展示も行う。