米国産生ジャガイモの輸入解禁に反対相次ぐ。生産者や消費者団体が懸念表明。農水省は検疫協議の進捗を説明

 米国産生ジャガイモの輸入解禁をめぐり、国内の生産者や消費者団体から反対や懸念の声が相次いでいる。生産者団体は、病害虫の侵入による国内農業への影響を懸念し、署名活動などを展開。消費者団体も、食の安全や国内の生産基盤、消費者の選択の権利などの観点から、輸入解禁に反対する要請書や意見書などを提出している。一方、農林水産省は、米国との検疫協議について、国際ルールにのっとり、科学的事実に基づいて厳格に対応すると説明している。


 北海道北見地区農民連盟は8月19日、米国産生ジャガイモの輸入解禁に断固反対する要請書と、8892筆(8月6日時点)の署名を農林水産省に提出した。同連盟は、これまでに病害虫の一種であるジャガイモシロシストセンチュウなどの防除に取り組んできた経緯がある。病害虫の発生リスクを排除し、国産馬鈴しょ生産の維持・発展を図るため、輸入を解禁しないよう求めた。
 今回、輸入解禁が協議されているのは、一般流通用の生ジャガイモだ。農林水産省の説明資料によると、用途をポテトチップ加工用に限定したジャガイモは、2006年に輸入が解禁された。米国側は2020年、一般流通用として改めて輸入解禁を要請した。

 消費者団体からも反対の声が上がっている。主婦連合会は9月30日付で、首相や農林水産相、厚生労働相、消費者庁長官らに「米国産生鮮ジャガイモの輸入はやめてください」とする要請書を提出した。
 同会は、国内ではジャガイモが十分に生産されており、病害虫の侵入リスクを抱えてまで輸入を解禁する必要はないと主張。安価な米国産生鮮ジャガイモが流通すれば、菓子や総菜、外食メニューなどに幅広く使用され、国内生産者への打撃や日本農業の衰退につながると懸念を示した。
 また、長距離輸送に伴うカビの発生防止や発芽抑制のための農薬の使用にも懸念を表明した。さらに、遺伝子組み換えやゲノム編集技術を用いて生産されたジャガイモの輸入が増える可能性を指摘。それらの表示制度が不十分な現状では、消費者が避けて選択することが難しいと訴えた。
 生活クラブ事業連合生活協同組合連合会も9月16日、米国産生ジャガイモの全面輸入解禁に反対する意見書を農林水産相に提出した。食の安全、国内農業、地域社会、将来世代の食を守る観点から、国に対応を求めている。パルシステム連合会も9月28日、国内生産者を応援し、食の安全を重視する消費者の立場から輸入解禁に反対する意見書を提出し、国内生産基盤の強化を要請した。

 農林水産省は9月18日、公式動画で、米国産生ジャガイモの輸入検疫協議について説明した。世界貿易機関(WTO)の「衛生植物検疫措置の適用に関する協定」(SPS協定)に基づき、相手国から輸入解禁に向けた協議を要請された場合には応じる必要があり、今回の協議を中止することはできないとしている。
 さらに、同省は、輸入解禁に向けた協議は、解禁を前提に進めるものではないと説明。病害虫の侵入リスクが十分に下がることを示す客観的・科学的な根拠が得られなければ、協議は進まず、輸入解禁には至らないとしている。

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