高齢者を狙った悪質商法などの消費者被害を防ぐため、東京都は、宅配や配食などで家庭を訪問する事業者と連携し、注意喚起のリーフレットを高齢者らに直接届ける「悪質商法注意喚起プロジェクト」を9月から開始した。インターネット通販や、訪問してきた事業者に検針票を見せたことをきっかけに始まる契約トラブルを漫画で紹介し、被害防止につなげる。

東京都によると、2025年度に都内の消費生活相談窓口などに寄せられた相談は約14万5000件で、前年度に比べて約10%増加した。このうち契約当事者が60歳以上だった相談は約5万件に上り、全体の3割以上を占めた。高齢者を巡る消費者トラブルは依然として深刻な状況にあり、今後さらに高齢化が進むことで、被害の増加も懸念されている。
プロジェクトでは、宅配や配食、飲料の宅配など、日常業務で各家庭を訪れる事業者の強みを生かす。9月~12月までの4カ月間、高齢者や高齢者を見守る家族らを対象として、悪質商法の被害防止を呼びかけるリーフレット計16万部を直接手渡す。郵送やインターネットによる情報発信だけではなく、普段から地域住民と接する事業者を通じて注意を促すことで、高齢者本人だけでなく周囲の見守りにもつなげる狙いがある。
今年度のリーフレットでは、高齢者が巻き込まれる可能性のある身近な契約トラブルを漫画で取り上げた。1つはインターネット通販を巡るトラブルで、もう1つは自宅を訪れた事業者に電気やガスなどの検針票を見せたことから始まる契約トラブル。身近な場面を漫画で分かりやすく示すことで、悪質商法への警戒を促す。
取り組みには、運送事業者としてヤマト運輸の多摩、西東京、武蔵野の各主管支店が参加。生活協同組合ではコープみらい、パルシステム東京、生活クラブ生活協同組合・東京、東都生活協同組合が協力する。さらに、配食事業者のシニアライフクリエイトとワタミ、飲料宅配事業者の東京ヤクルト販売も加わる。宅配便や食品、弁当、飲料などを届ける際に、注意喚起の情報も一緒に届ける仕組みとなっている。
高齢者の消費者被害では、本人が被害に気付かなかったり、被害に遭ったことを周囲に相談できなかったりするケースも考えられる。そのため、日常的に高齢者と接する人が異変に気付き、相談につなげる「見守り」の役割が重要になる。
インターネット通販の普及などによって、高齢者を取り巻く消費生活の環境も変化している。一方で、自宅を訪問する事業者との契約など、従来からあるトラブルにも引き続き注意が必要。東京都は、高齢者の消費者被害が今後さらに増えることを懸念しており、宅配事業者など地域に身近な民間事業者との連携を通じて被害の未然防止を図る。