環境省は2月13日、「第7回脱炭素先行地域」の選定結果を公表した。2025年10月6日~10月15日の期間に募集が行われ、共同提案を含めて全国39の地方公共団体(都道府県9、市・特別区17、町13)から18件の応募があり、12件が選出された。2022年4月の第1回目から今回までに選定された計画提案は102件となり、「2025年度までに少なくとも100カ所の地域を選定する」という目標に達したことから、これが最後の選定となる。選ばれたのは、中泊町(青森県)、笠間市(茨城県)、銚子市(千葉県)、石川県、福知山市(京都府)、豊岡市(兵庫県)、和歌山市(和歌山県)、徳島市(徳島県)、高松市(香川県)、荒尾市(熊本県)、大分県、大分市(大分県)。2月26日には、選定証の授与式が行われ、石原宏高環境相が冒頭の挨拶で、「提案を着実に実現することで、他の地域を牽引する好事例となり、脱炭素と地域のさらなる活性化につながることに期待する」と述べた。(原田恵理)

脱炭素先行地域とは、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、地域特性に応じた先進的な脱炭素計画を提案・実行する地域のことで、2021年6月に「国・地方脱炭素実行会議」が決定した「脱炭素ロードマップ」に基づいて選定が行われてきた。「脱炭素先行地域評価委員会」が選考に当たり、委員は座長の竹ケ原啓介氏(政策研究大学院大学教授)を含めた6人の学識経験者で構成される。
授与式に先立ち、竹ケ原座長が、「海外、特にアメリカからサステナビリティや脱炭素についてネガティブな声が聞こえるが、日本政府は脱炭素と経済成長の両立を目指す『GX(グリーントランスフォーメーション)』の旗を降ろさず堅持する」と方向性を示したうえで、「GXのコンセプトを地域で体現するのが脱炭素先行地域」と位置付けた。
評価で重要なポイントとなったのは、これまでと同様、「地域の課題解決」と「地方創生」の同時実現。さらにその結果として、地域の企業誘致や雇用創出、地方創生の観点から具体的な効果が示されていなければならない。特に今回選定された提案は、地域の特徴や資源を最大限に生かしつつ、長期的な地域の将来ビジョンを見据え、地域産業の持続可能性や発展に貢献しようとする取り組みがみられた。
笠間市は、伝統工芸品「笠間焼」を対象に、経済価値の分析から原料調達、後継者育成、販売モデルに至るまで、製造から販売までの取り組みを一気通貫で支援する仕組みを構築。併せて特産品の栗の選定枝を活用したバイオマスボイラの導入により、野焼き等の環境負荷や処理負担といった農業分野の課題に対応する。さらにボイラから出た灰を釉薬に活用することで、資源循環型の取り組みを実現する。住民に向けては、再エネ切り替えへのインセンティブとして「モンブランの食事券」を付与するなど、地域理解や合意形成への促進、地域産業の貢献の実現を図る。
石川県は、能登半島地震を踏まえ、広域自治体である県が主体となり、陸・海・空の基幹インフラへの自律分散型電源等を一体的に整備し、災害時の人命救助や物資供給、広域避難を支える基盤を構築することで、市町村単独では対応しがたい広域防災体制の強化を実現する。併せて、和倉温泉と陸海空の各基盤をEVで周遊可能な環境を整え、半島周遊の促進により関係人口の拡大を図る。和倉温泉の高温源泉を生かし、温泉熱を有効活用して旅館の経営負担軽減やサステナブルな温泉地としてのブランド化を目指す。
和歌山市は、中心市街地の空き家の増加という課題に対し、都市再生推進法人や空き家管理活用支援法人、地域金融機関と連携し、改修費用を家賃に上乗せして中長期的に回収する仕組みにより、断熱・省エネ・耐震改修を一体的に推進するスキーム「断熱PPA」を構築。入居者の初期費用低減、商店街等まちづくり全体の取り組みと連携することでにぎわいを創出し、建物とエリア双方の価値向上の実現を目指す。授与式に臨んだ同市副市長の犬塚康司氏は、「これまで先行地域に4回手を挙げて、最後にようやく選ばれた。落選のたびにブラッシュアップできたのは共同提案者や地域の協力のおかげ」と喜びを語った。
高松市は、官民の連携で宿泊・飲食・交通等の分野でサステナブル・脱炭素に貢献する商品・サービスの創出・拡大を行う。それにより、四国の玄関口となっている港「サンポート高松」エリアの地域経済の活性化を目指す。高松シンボルタワーの屋上に太陽光発電設備を設置するほか、外資系ホテルの単独用途では国内初のZEBReady認証(省エネ基準から一次エネルギー消費量を50%以上削減)を取得したホテル等とも連携。EV観光船での離島の周遊や、EVカーシェアなどの導入も図る。同市長の大西秀人氏は、「合言葉は『脱炭素でおもてなし』」と意気込みを語った。