子ども向けの商品は安全性が高いと思われがちだ。しかし、主婦連合会衣料部が公表した残留化学物質などを調べた「第2回 乳幼児・子ども服の安全性調査」では、国内外で購入した33製品のうち、日本の家庭用品規制法には全て適合した一方、国際的に普及する民間認証基準「エコテックス®スタンダード100」に照らすと5製品が基準を満たさなかった。見た目や表示だけでは分からない、子ども服の「見えない品質」が浮かび上がった。

調査対象は、海外ECサイト(個人輸入)や通販、国内の子ども服量販店、街の小売店などで購入したエプロン、帽子、下着、ズボン、Tシャツ、パジャマなど33品目。国内法の家庭用品規制法が対象とするホルムアルデヒドと特定芳香族アミンについては33製品すべてが適合したが、エコテックス基準による検査では、撥水エプロン、洗えるトイレトレーニングパンツ、軽量ダウンジャケット、刺繍フェイスタオル、Tシャツの5製品で、有機フッ素化合物(PFAS)、フッ素化合物(TF)、溶出重金属(アンチモン)、pH値、塩素化ベンゼンの各項目に不適合があった。
中でも、海外ECサイト「TEMU」で購入した子ども用の撥水エプロンでは、PFAS(有機フッ素化合物)が452mg/kg、TF(フッ素化合物)が1210mg/kg検出され、いずれもエコテックス基準値を大きく上回った。
主婦連合会副会長で衣料部長の柿本章子さんは、子ども服の調査を続ける理由について、「子どもの体は大人に比べて弱く、体積も小さい。衣類をなめたり口に入れたりもする」と話す。子どもは大人よりも化学物質の影響を受けやすい可能性があり、商品の安全性を丁寧に見ていく必要があるという。
柿本さんら主婦連衣料部は、日本の家庭用品規制法を「健康を守る最低限のハードル」と位置づける一方、重金属やフタル酸類など、現行法だけでは十分にカバーしきれない化学物質があると指摘する。そのうえで、日本の事業者には国内法の順守にとどまらず、国際レベルの有害物質規制に対応した「安全・安心なものづくり」を求めている。化学物質の問題は、消費者だけでなく製造現場で働く人や環境にも関わるため、幅広い視点から向き合う必要があるという。
海外EC経由の商品については、国内事業者を介さない「個人輸入」に当たる場合があり、製品の安全性や品質について、消費者が購入前に十分な情報を得ることが難しい場合もある。トラブルが生じた際には解決が困難になるケースもある。
同調査は、子ども服の「見えない品質」を可視化した。一部の商品で国際基準を大きく超える化学物質が検出されたことは、特定の商品だけの問題ではない。国内法に適合していても、国際的な安全基準では十分とはいえない場合があることや、海外ECを介した個人輸入製品では、消費者が製品情報を十分に把握しにくい現状が浮かび上がった。
「知っているか知らないかが重要」と柿本さんは話す。消費者は、見た目や価格、「安全そう」という印象だけで判断するのではなく、商品の背景にある基準や情報にも目を向けながら選択していくことが求められている。
「知っているか知らないか」という視点は、子ども服に限らず、機能性や安全性をうたうさまざまな商品にも共通する。見た目や表示だけでは分からない「見えない品質」に目を向けることが、消費者が主体的に商品を選ぶことにつながる。