噴射距離3.5~10m以上、噴射時間は約2~37秒。クマ撃退スプレー、商品によって大きな差

 クマと遭遇した際の対策として販売されている「クマ撃退スプレー」について、商品によって噴射距離や時間、パターンに大きな違いがあることが、消費者庁や環境省、国民生活センターのテストで分かった。インターネットの大手ショッピングモールで販売されている12商品を対象に調べたところ、噴射距離は3.5〜10メートル以上、噴射時間は約2〜約37秒と性能に大きな差があった。

クマ撃退スプレー
動画でもテスト結果を公開している。
https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20260825_1.html

 噴射距離は、環境省は7.5メートル程度以上を推奨。5〜10メートル程度の距離を保って噴射するよう同センターは説明しているが、テストでは5メートルに届かない商品も確認された。また、一回の噴射でクマの行動を抑止できるとは限らず、1〜3秒程度の噴射を複数回行える時間が求められるが、最短の商品は約2秒にとどまった。
 噴射パターンは、霧状が6商品、棒状が3商品、霧状と棒状が混在するタイプが3商品だった。霧状タイプは、広い範囲に有効成分を噴射できるのが特徴。一方、噴霧量が少なかったり、勢いが弱かったりすると、クマに十分付着させることができない可能性がある。棒状タイプは、水鉄砲のように液体を噴射するため、霧状タイプに比べて風の影響を受けにくい反面、クマの顔を狙う必要がある。
 風向きにも注意が必要だ。今回の商品テストは、風の影響を受けないビニールハウス内で実施されたが、実際の使用時には風が吹いていることも考えられる。横風が吹いている場合は、スプレーが風に流され、クマに十分届かない可能性がある。一方、向かい風では、噴射した成分が使用者自身に付着する危険がある。


「忌避剤」との違いに注意

 製品を選ぶ際には、クマ用で、かつ撃退用のスプレーであるかを確認することが重要だ。クマ撃退スプレーのように見える製品の中には、対人用スプレーのようにクマを対象としていない製品を、クマに対しても使用できるものとして販売しているものもある。
 また、「クマ忌避スプレー」などと表示された製品もある。これは、クマと遭遇した際に噴射して行動を抑止するクマ撃退スプレーとは目的が異なり、対象物にあらかじめ吹き付け、強い臭いなどによってクマを近づけないことを目的としたもの。購入時には、製品の表示や使用方法をよく確認する必要がある。
 なお、クマ撃退スプレーは、クマを寄せ付けないための「忌避剤」ではない。海外の研究報告では、クマに対する抑止効果が認められたクマ撃退スプレーを地面に噴射した後、クマが引き寄せられたことが確認されているという。このため、クマ撃退スプレーを人やテント、荷物などに吹きかけないよう注意が必要だ。


さまざまな有効成分の表示

 有効成分についても、カプサイシン2%、カプサイシノイド2.0%など、商品によってさまざまな表示が見られた。クマ撃退スプレーは、カプサイシン・関連カプサイシノイドの濃度1.0~2.0%程度が推奨されている。「オレオレジン・カプシカム」と表示した商品もあった。これは、カプサイシンなどの辛味成分のほか、油脂や色素などを含むトウガラシの抽出物を指す。オレオレジン・カプシカムは、含まれるカプサイシンなどの濃度によって、辛味成分の強さが異なる場合がある。


缶破裂による事故も

 一方、クマ撃退スプレーは刺激性のある成分を含むため、取り扱いにも注意が必要だ。相談事例では、草刈り機の刃先が落ちていたカプサイシン含有のクマよけスプレーに当たり、缶が破裂。内容物がかかり、顔や両足に赤みや熱さ、痛みが生じ、救急搬送されたケースがあった。
 大手ECサイトで購入したクマよけスプレーを庭でエプロンのポケットに入れていたところ、しゃがんだはずみに落として缶の側面に穴が開き、液体が顔や腕にかかって皮膚科を受診した事例もある。このほか、室内で誤射して部屋中に広がり、約9カ月たっても強い臭いが取れないとの相談も寄せられている。


携帯・保管方法にも配慮を

 持ち歩く際には、クマへの噴射を素早く行えるよう、携行用ケースを利用し、すぐに取り出せるよう身に着けておくことが重要。ただし、人の多い場所や公共交通機関などでは、誤噴射を防ぐため、バッグの中などにしまう必要がある。
 今回の12商品では、専用携行用ケースがあるものとないものがそれぞれ6商品だった。専用ケースは、スプレーのサイズや使用方法を踏まえて作られており、取り出す際に手間取ったり、移動中に落下させたりするリスクを低減すると考えられる。

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