認知症等の「見守り」が課題に、消費者白書
消費者庁は6月12日、「2026年版消費者白書(2025年度消費者政策の実施の状況)」を公表した。2025年度に同庁へ通知された消費者事故等は1万4598件に上り、そのうち生命や身体を脅かす重大事故等は2036件と高水準で推移している。また、高齢者の消費生活相談は32万件と、前年からさらに増加しており、認知症等によりトラブルへの自覚がない高齢者を周囲がいかに守るかという「見守り」の重要性が浮き彫りとなっている。
生命・身体に関する事故情報の中で、近年特に新たな消費者問題として顕在化しているのが、日常生活で持ち歩くデジタル機器の「リチウムイオン電池」による発熱・発火トラブル。
①「身に着ける機器」の発火事故が急増 ワイヤレスイヤホンなど警戒
事故情報データバンクに登録されたワイヤレスイヤホン、スマートウォッチ、携帯用扇風機の3製品に関する事故は、2024年度に43件に達し、増加傾向が顕著となっている。特にワイヤレスイヤホンによる事故は23件と、2020年度(10件)の2倍以上に急増。リチウムイオン電池は取り扱いを誤ると、重大な火災につながるおそれがあるため、消費者庁は「強い衝撃や圧力を加えない」「高温の場所に放置しない」「廃棄時は電池を使い切りリサイクルへ回す」といった具体的な注意点を挙げ、消費者へ適切な使用と廃棄を呼びかけている。
②高齢者相談は32万件、認知症等の被害は「周囲の気付き」がカギ
契約トラブルの面では、高齢者の被害リスクが依然として高い。65歳以上の高齢者による消費生活相談件数は、2025年で32万件となり前年(30.1万件)から増加。高齢者からの相談は、全体のおよそ3割を占める状態が続いている。
特に深刻なのが、認知症等の高齢者を巡る消費者トラブル。相談件数は2025年に1万20件と1万件を超え、右肩上がりで増え続けている。
高齢者全体で見ると「本人からの相談」が約8割を占めるのに対し、認知症等の高齢者に限ると、本人からの相談はわずか25.8%(約4分の1)にとどまる。つまり、残りの約4割は「契約者が相談者と異なる」状態であり、家族やホームヘルパーなど周囲の人間が異変に気付いて窓口に相談しているのが実態だ。
認知症等の高齢者は被害に遭っても自覚しにくいため、消費者庁は地域社会や周囲による日常的な見守りを強化していく必要があるとしている。
③2025年度の消費者事故の内訳
白書にまとめられた消費者安全法に基づく事故等(1万4598件)の具体的な内訳は次の通り。
◇重大事故等‥2036件
◇重大事故等を除く消費者事故等‥1万2562件
◇財産事案(架空請求や契約トラブルなど)‥8608件
◇生命身体事故等(製品事故や食品誤飲など)‥5990件
消費者庁は、トラブルに巻き込まれたり周囲の高齢者に不審な様子が見られたりした場合は、一人で抱え込まずに消費者ホットライン「188(いやや)」へ速やかに相談するよう呼びかけている。