空調能力ない冷暖房機器に注意、国セン
「-20℃急速冷却」や「2秒でぽかぽか」など、エアコンのような冷暖房機能をうたう商品のトラブルが増えているとして、国民生活センターは3月11日、注意喚起を行った。PIO‐NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)によれば、インターネットショッピングで購入した、空間温度を上げたり下げたりする性能をうたう電気冷暖房機器に関する相談が、2020年4月~2025年12月末日までの間に3038件寄せられている。相談件数の推移をみると、2020年度に25件、2021年には41件だったものが、2022件には226件、2023年度には469件と増加。2024年度には1354件と急増し、さらに今年度は12月末日時点で923件(昨年度同時期775件)に及ぶ。相談内容をみると、「広告のように冷えない」「暖まらない」などの機能に関する内容が多い。こういった事態を受けて同センターでは、SNSやインターネット通販で販売されている「エアコン機能」があるとする機器10銘柄について調査を行った。調査の対象はすべて中国製で、いずれの銘柄にも冷却装置の搭載がなく冷房効果がないことなどが分かった。
エアコンの基本的な構造は、いわば「熱の移動」で、空気を直接冷やしたり熱したりするものではない。冷房は室内の熱を外へ、暖房は外の熱を中に運ぶ。室内機(蒸発器)と室外機(凝縮器)がパイプで接続され、冷媒が液体と気体に状態変化しながら移動して熱を交換し、冷暖房運転を行う。
空間の温度を下げることは、室内の温かい空気を吸い込んで、冷えた熱交換器を通過させながら外に熱を放出し、温度が下がった風を室内に噴き出すことで実現する。温度を上げるには、冷房とは逆サイクルで、屋外から熱を回収して温めた熱交換器に室内の冷たい空気を当てることで可能となる。
ヒーター等を用いる暖房機の場合、冷媒を用いるエアコンと比較して消費電力に対する効果が低く、空間の温度を上げるために必要な時間はエアコンと比べて長くなることから、同等の温度に温めようとすると電気料金が高くなる。また、冷媒を用いるエアコンは、消費電力に対してそれを数倍上回る暖房能力を有するのに対し、電気ヒーターやオイルヒーターは消費電力がそのまま暖房能力となることから、これらを同じ電力で同じ時間使用した場合、エアコンを超える能力を発揮することはない。
「エアコン」のような性能をうたう商品について寄せられた相談を見ると、▽動画サイトの広告で「スイッチを入れると1秒で16~20℃の冷風が出て、クーラーが要らない。AI機能搭載」とあったので購入したが、商品はおもちゃのようで、冷風も出ない。契約時に記載した電話番号に不審な電話もかかるようになった▽スマホゲームの広告で、大手メーカーのマークの付いた扇風機のような形の小型電気ヒーターを見つけた。「3秒で暖まり、電気代は月50円程度」とあったので購入したが、部屋も暖まらず大手メーカーのものでもない、粗悪品だった―などがあった。
同センターでは、動画サイトやSNS、ECモールで販売されていて、商品ページに「冷房機能」「暖房機能」「○秒速暖」等をうたう銘柄について、調査を実施した。冷房機能があるとする5銘柄、暖房機能があるとする4銘柄、冷暖房機能を備えるとした1銘柄を対象とした。
冷房機能があるとする6銘柄の内部構造を調べたところ、内部には送風ファンがあるのみで、吸い込んだ空気を冷却するための熱交換機や冷却器の搭載はなかった。実際に稼働させたところ、室温より低い温度の空気が噴き出すことはなく、広告でうたうような冷房機能を有していないことが分かった。
「○分・○秒で部屋を暖める」といった暖房効果をうたう5銘柄について、室温20℃湿度50%に設定した室内に設置し、それぞれ最大出力で5秒間動作させて温度を測定したところ、5秒以内に5℃以上高い温風を吹き出した銘柄はなかった。また、一般的なエアコンと5銘柄をそれぞれ6畳の洋室で30分運転して比較したところ、エアコンでは12.3℃上昇したが、5銘柄ではいずれも5℃以上温度を上昇させることはできなかった。
取り扱い説明書をみると、7銘柄で日本語での記載はなく、冷房機能があると称する全ての銘柄で冷房機能に関する記述はなかった。
同センターは、「USBや小さなバッテリー等の電源で部屋を『○秒速暖・速冷』する性能を持つ家電は、現時点で存在しない」として注意を呼びかけている。購入を検討する際は、販売事業者の情報や仕様等の記載内容を十分確認してほしい。派手な広告に惑わされないようにしよう。(原田恵理)