住宅用塩素系洗浄剤の使い方注意、国セン
住宅用塩素系洗浄剤を、ほかの洗剤と一緒に使用したことによる相談や事故が確認されているとして、国民生活センターは注意喚起を行った。次亜塩素酸塩等を主成分とした住宅用塩素系洗浄剤は、主に浴室のカビ取りなどに使用されているが、酸性洗浄剤などと一緒に使用すると、有害な塩素ガスを発生する。PIO‐NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)によれば、2020年4月~2026年1月15日までの約6年間に、塩素系洗浄剤の塩素ガスにさらされたことによる危害・危険についての相談が40件あった。また、医療機関ネットワーク(消費生活で生命や身体に被害が生じた事故にあい、参画医療機関を受診した情報を収集する同センターと消費者庁の共同事業)には、同期間に事故の報告が3件寄せられていて、なかには救急搬送された事例もあった。こういった事態を受けて同センターでは、市販されている塩素系洗浄剤のうち、浴室のカビ取り等をうたう商品と他剤を一緒に使用した際の空間中の塩素ガス濃度などを調査し、結果を公表した。(原田恵理)
塩素ガスは、刺激臭のある黄色(緑色を帯びたものもある)の気体で、吸引した場合、腐食性(体内の粘膜損傷)や灼熱(しゃくねつ)感、息切れやせき、頭痛や吐き気、めまいや息苦しさ、咽頭痛などを引き起こすとされていて、症状は遅れて現れることもある。公益社団法人日本産業衛生学会によれば、塩素ガスの最大許容濃度(作業中どの時間をとっても、それ以下の数値であれば労働者の健康上に悪い影響がみられないと判断される暴露濃度)は0.5ppm(1.5㎎/㎡)とされている。また、公益社団法人日本化学会が発行した「化学防災指針2」が示す塩素濃度と急性中毒症状の関係は、▽0.35ppmで「刺激臭により存在を感じる」▽1.0ppmで「長時間に耐え得る限界」▽3.5ppmで「強い刺激臭を感じ、30分~1時間は耐えられるが、目や鼻、喉に刺激を感じる」▽14~28ppmで「喉に即座に刺激があり、せきが出る。30分~1時間で生命危機」▽35~50ppmで「30分~1時間で死亡」▽900ppm以上では「直ちに死亡」-とされている。
PIO‐NETに寄せられた事故情報では、▽キッチンの排水口に塩素系洗剤を流したところ、酸性の強い食器洗い機の洗剤と混ざって刺激臭のあるガスが発生し、目が痛くなった(2025年7月、50歳代女性)▽風呂掃除中に塩素系洗浄剤とクエン酸を含む製品を同時に使ったら有害ガスが発生し、強烈に喉がイガイガして頭も痛い(2020年10月、20歳代女性)-などがある。
医療機関ネットワークに寄せられたものでは、▽浴室内で住宅用塩素系洗浄剤とクエン酸を同時に使用したところ、1時間後に嘔吐(おうと)の症状が出たため、救急要請した(2025年12月、50歳代男性)▽浴室の排水口の掃除の際、水酸化ナトリウム系のジェル状パイプ洗浄剤を使用し、いったん水で流した後に塩素系の発泡する洗浄剤を使用したところ、気分不良、喉の違和感、四肢のしびれが出現したため、換気を行い救急要請した(2025年5月、50歳代女性)などが確認されている。
これらの報告を受けて同センターでは、浴室のカビ取りや排水口パイプに使用するスプレータイプとジェルタイプ、錠剤タイプの塩素系洗浄剤を対象に、塩素ガスが発生する組み合わせを調べた。スプレータイプやジェルタイプの次亜塩素酸塩を含む塩素系洗浄剤では、酸(レモン果汁、穀物酢も含む)、エタノールを混ぜると塩素ガスが発生した。また、錠剤タイプの塩素化イソシアヌル酸塩を含む塩素系洗浄剤では、酸性タイプの洗浄剤、レモン果汁、穀物酢、エタノールのほか、次亜塩素酸塩を含む洗浄剤と混ぜることでも塩素ガスが発生した。
浴室内の再現テストでは、換気扇を止めた浴室床面にスプレータイプの塩素系洗浄剤を約40プッシュ(約40g)噴霧し、その上から酸性洗浄剤を同量噴霧したところ、数分後には浴室内の塩素ガス濃度が16ppmに上昇し、生命に危険が及ぶレベルに達した。また、使用後に流す水の量が十分でない場合、塩素系洗浄剤が排水トラップに残留することも分かった。
同センターでは、消費者へのアドバイスとして、▽塩素系洗浄剤は必ず単独で使用する▽使用の際は、換気を十分に行い、マスクやゴム手袋、保護メガネなどの保護具を使用する▽使用後は少なくともバケツ1杯分程度の水を流し、ほかの商品を続けて使用することは避ける▽塩素ガスが発生していると感じたら、その場を離れる▽万が一吸い込んでしまったら医師に相談する―ことを挙げ、注意を呼びかけている。