有効活用に高い意欲も、負担が壁
企業が災害時に備えて備蓄する食料について、入替え時に一定量が廃棄されている実態が明らかになった。消費者庁が4月6日に明らかにした調査によると、年間で約20万食が廃棄されていると推計される一方で、多くの企業が有効活用に前向きな姿勢を示しており、制度設計や支援の在り方が問われる。
調査は企業91社を対象に実施。災害時に備えた食料を備蓄している企業は85.7%に上り、その多くが本社だけでなく支社・支所でも備蓄を行っていた。背景には、東日本大震災以降、帰宅困難者対策として企業にも3日分程度の食料備蓄が求められていることがある。
一方、備蓄食料は賞味期限に応じて定期的な入替えが必要となる。調査では、入れ替えに伴う廃棄は「発生していない」とする企業が約7割に達したが、全体としては年間約87万食が入れ替え対象となり、そのうち約22.5%に当たる約20万食が廃棄されていると推計された。
廃棄を防ぐための取り組みとしては、「従業員への配布」が73.6%、「フードバンクや福祉施設への寄付」が63.9%と、社内外での活用が進んでいる。特に大企業では、備蓄量が多いことから寄付の割合が高い傾向が見られた。
だが実際には、「賞味期限切れで活用できなかった」「寄付先の条件と合わなかった」「従業員に受け取られなかった」などの理由で、廃棄に至るケースも確認された。さらに、「配送費などのコスト負担」「寄付先との調整の手間」といった課題が、有効活用の障壁となっている。
それでも、次回の入れ替え時に、「全量を有効活用したい」と回答した企業は78.2%に上り、全体の96.1%が何らかの活用を検討している。企業側の意欲は高く、仕組みや支援が整えば、食品ロス削減と生活困窮者支援の両立が一層進む可能性がある。
消費者庁は、寄付の仕組みの周知や手続き負担の軽減などを課題として挙げており、今後は企業の備蓄行動を妨げない形での有効活用促進策が求められる。