第14回「食品産業もったいない大賞」の受賞者が9月29日、発表された。農林水産大臣賞には、柑橘類「じゃばら」の搾汁後の果皮を商品化し、地域資源として活用する株式会社じゃばらいず北山(和歌山県北山村)が選ばれた。農林水産省大臣官房総括審議官(新事業・食品産業)賞には、当時小学6年生が考案したカードゲーム「食べ残しNOゲーム」を活用し、教育や人材育成など幅広い活動に取り組む特定非営利活動法人Deep People(大阪府大阪市)など3団体・企業が選ばれた。
同賞は、食品産業の持続可能な発展に向け、省エネルギー、二酸化炭素(CO2)削減、廃棄物の削減・再生利用、教育・普及などの観点から、環境対策に取り組み、顕著な実績を挙げた食品関連事業者などを表彰するもの。公益財団法人食品等持続的供給推進機構が主催し、農林水産省が協賛している。
農林水産大臣賞を受賞したじゃばらいず北山は、和歌山県北山村の「じゃばら」を使った商品の企画・製造・販売などを行っている。村内の農家が生産したじゃばらを搾汁した後、果汁と果皮に分けて活用している。
同社によると、搾汁後の果皮は、ゆずなどと比べて香りが強くないこともあり、用途が限られていた。一部は十分な活用先がなく、廃棄されていたという。そこで、果皮を付加価値のある商品にできないかと考え、約2年かけて試行錯誤を重ねた。その結果、じゃばらの果皮を多く使い、食材にのせて食べる新感覚のぽん酢「噂のどろぽん」の商品化に至った。
ほかにも、果皮を乾燥させた「じゃばら乾燥果皮」は、水産会社との連携により、養殖マグロの飼料として活用している。また、微粉末化した「じゃばらパウダー」は、ナリルチンを豊富に含む特性を生かし、自社のサプリメントや顆粒商品の原材料として使用するほか、製薬会社や菓子メーカーなどに食品原料として供給している。同社によると、現在、果皮は廃棄していないという。
地域とのつながりを育む取り組みとして、北山村内外の小学生を対象に工場見学も実施している。廃棄されていた果皮が商品になり、販売されていることを伝え、地域資源や食品ロスについて学ぶ機会を作っている。
農林水産省大臣官房総括審議官(新事業・食品産業)賞を受賞したDeep Peopleは、「食べ残しNOゲーム」を活用した食品ロス削減の啓発活動に取り組んでいる。飲食店の経営を疑似体験しながら、「利益の確保」と「食品ロス削減」の両立を楽しく学べるカードゲーム型教材だ。出前講座では、子どもたちがゲームを体験した後、食品ロスについて考える機会を設けている。
ゲームは、当時小学6年生だった子どもの発想から生まれた。飲食店を経営する父親の店で、ごみ箱にキャベツやご飯などが大量に捨てられているのを見て、もったいないと感じたことがきっかけだったという。
出前講座の担い手を養成する講座も実施しており、小学生向けの学習にとどまらず、企業の社員研修などにも活用されている。同法人は、もったいないという意識を幼い頃から育むことが大切だと考えている。食品などへのリスペクト(敬意)を育む教育の中で、今後もこのゲームが活用されていくことに期待を寄せている。
農林水産省大臣官房総括審議官(新事業・食品産業)賞には、Deep Peopleのほか、株式会社ファミリーマート(東京都港区)の「わずか20mmの涙目デザイン お客さまと一緒につくる、新しい食品ロス削減」と、CiPPo株式会社(兵庫県神戸市)の「屋外設置無人販売スマートロッカーWakeatte(ワケアッテ)」が選ばれた。
食品産業もったいない大賞審査委員会審査委員長賞には、株式会社LogStyleクリエイト事業所(大分市)の「未利用ニラ資源の高付加価値化による地域循環型食品モデルの構築」と、熊本県立八代農業高等学校泉分校グリーンライフ科(熊本県八代市)の「高校生によるジビエ利活用と森林保全型資源循環モデルの構築」が選ばれた。