著名人をかたるSNS広告などをきっかけに投資を始め、多額の金銭を失うトラブルが起きている。国民生活センターは9月1日、SNSで勧誘される金融商品・サービスについて注意を呼びかけた。著名人の知名度を悪用して信用させ、投資グループに誘導した後、多額の資金を振り込ませる手口が目立つ。

50代男性は、SNSで著名人を名乗るアカウントとつながり、投資についてやり取りを開始。金融商品取引業者に勤務するという「著名人のアシスタント」が開催する投資講座に参加し、未公開株のデイトレードを始めた。指定されたアシスタント名義の口座に繰り返し投資金を振り込み、その総額は約1000万円に上った。
画面上では利益が出ていたため出金しようとしたところ、今度は約1100万円もの手数料を請求された。不審に思って、アシスタントが勤務しているとされた金融商品取引業者の公式サイトを調べると、SNSを通じた勧誘は行っていないとの注意喚起が掲載されていた。
暗号資産を利用したケースもある。50代女性は動画サイトで「著名人が主催する」という投資グループの広告を見て、80人以上が参加するメッセージアプリのグループに加入。「もうかった」といった他の参加者の書き込みを信用し、複数回にわたり計約1000万円を送金した。画面上の残高は約2000万円に増えたものの、出金を求めると「税金」などとしてさらに500万円を要求された。
最初に少額の利益を出金させ、信用させる手口もある。60代男性は、有名実業家が投資を教えるというSNS広告から投資グループに参加。約100万円を送金した後、利益として約30万円を実際に出金できたため相手を信用した。その後、さらに約400万円を送ったところ、相手と連絡が取れなくなった。
これらの手口では、著名人の画像や名前、投資グループ内の「成功談」、画面上の利益などを組み合わせ、消費者に本物の投資だと思わせるのが特徴。国センは、SNS上では著名人の画像などが無断で使われることがあるとして、本人の公式サイトや公式アカウントで確認するよう呼びかけている
投資先についても、金融庁のホームページで金融商品取引業者や暗号資産交換業者として登録されているか確認することが重要だ。
特に注意したいのが振込先。通常の株式やFXなどの取引で、投資資金を個人名義の銀行口座に振り込ませることはない。国センは、「個人名義の口座を指定された場合、それは詐欺」と明言し、絶対に振り込まないよう警告している。
一度送金すると被害回復は難しい。不審に感じた時点で送金をやめ、消費者ホットライン「188」や警察相談専用電話「#9110」に相談することが大切。被害者に「お金を取り戻せる」と持ちかける2次被害にも注意が必要だ。