消費生活相談のデジタル化、国が全額支援。新PIO-NET移行へ端末・周辺機器などが対象。災害時の相談窓口復旧も

 全国の消費生活センターなどで使われる相談情報システム「PIO-NET」(全国消費生活情報ネットワークシステム)の新システムへの移行を円滑に進めるため、消費者庁は8月27日、地方自治体への財政支援の対象経費や交付率などを示した。相談員が使う端末や周辺機器、セキュリティー対策、新システムに関する研修などを対象とし、交付率は10分の10とする。また、災害によって低下した消費生活相談機能の復旧や、災害に便乗した悪質商法の被害防止に向けた周知・啓発についても支援する。


 消費者庁長官が同日各都道府県知事に通知した。地方消費者行政強化交付金のうち、「特に緊急的・集中的に対応が求められる取組」として、新PIO-NETへの円滑な移行と、災害時の消費者被害対策などについて具体的な支援内容を定めた。通知は8月27日から適用される。
 PIO-NETは、全国の消費生活センターなどに寄せられた消費生活相談の情報を収集するシステム。新システムへの移行に伴い、自治体側では相談業務に必要な機器やセキュリティー環境などを整える必要がある。
 今回の支援では、新PIO-NETへの移行に必要なマイク付きヘッドセットやディスプレー、マウス、キーボードなどを交付対象とした。プリンターやスキャナー、複合機といった周辺機器も一定の条件で対象になる。新たな相談支援システムへの接続に必要な回線敷設工事についても支援するが、保守費用や通信費などの経常的な経費は対象外とした。
 相談員が使用するパソコン端末については、国民生活センターへ返却する予定のPIO-NET接続端末の代替として購入するものを対象とし、基準額は1台当たり12万円。行政職員が使う端末は対象としない。文書作成や表計算ソフトも対象になる一方、サブスクリプション型のソフトは対象外とした。
 情報セキュリティー対策にも支援を広げる。相談員の端末をネットワークに接続するために必要なセキュリティーソフトは、導入する端末1台につき4万円を基準額とする。二要素認証機器や、それ以外のセキュリティー対策に必要となる初期費用も対象に含めた。ただし、保守費用など継続的に発生する経費は対象外となる。
 新システム導入に伴う相談環境全体の整備についても支援する。相談業務や執務環境の整備を含めて法人に委託している消費生活センターでは、基準額を800万円とした。その他のセンターでは、新システムにつなぐ相談員用端末が5台までは一律100万円、6台以上の場合は1台につき20万円を基準とする。さらに、消費者行政担当職員や相談員が新PIO-NETに関する研修へ参加するための報酬や旅費なども交付対象とし、交付率はいずれも10分の10としている。


 もう1つの柱が、地震や豪雨などの災害発生時における消費者行政への支援。災害によって消費生活センターや相談窓口の機能が低下した場合、施設や機器を復旧するための費用を支援する。対象には備品購入費や工事費などが含まれ、初期費用について10分の10を交付する。
 災害によって急増する相談に対応するため、緊急的に消費生活相談員を配置する場合の人件費なども対象となる。専門家への相談を必要とする場合の費用や、臨時の相談窓口を整えるための備品、賃借料なども支援する。
 さらに、災害に便乗した悪質商法への対策も盛り込んだ。災害発生後には、住宅の修理や点検などを持ちかける消費者トラブルが問題になることがある。今回の制度では、こうした悪質商法などによる消費者被害を未然に防ぐため、自治体が実施する周知・啓発活動の費用についても10分の10を支援する。
 消費生活相談を取り巻く環境がデジタル化する一方、大規模災害などの非常時にも相談機能を維持することが求められている。今回の交付金は、平時のシステム更新と緊急時の相談体制という2つの課題を国が財政面から支える仕組みとなる。自治体の負担を抑えながら相談現場の環境を整え、消費者トラブルを早期に把握し、被害の拡大を防ぐ体制を全国で確保できるかが焦点となりそうだ。

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