訪問販売を巡る消費者相談で、インターネット広告を見た消費者が自ら業者の訪問を求めたケースの割合が、2015年度の4.1%から2024年度には36.3%へ大幅に増えたことが、消費者庁の調査で分かった。従来の「業者が突然自宅を訪ねてくる」という訪問販売だけでなく、ネット広告を入口としたトラブルが目立つ実態が浮かんだ。

調査は、全国の消費生活センターなどに寄せられた相談を蓄積するPIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)のデータを、東京大学エコノミックコンサルティングが分析した。相談内容の自由記述などについて大規模言語モデル(LLM)を使って自動分類し、人による確認・補正も行った。訪問販売や連鎖販売取引を中心に、相談内容の変化やトラブルの実態を調べた。
訪問販売の相談の「起点」を比較すると、2015年度は広告などを経由せず業者が訪問したケースが82.7%を占め、ネット広告を見て消費者が訪問を依頼したケースは4.1%だった。2024年度には前者が53.6%に低下する一方、ネット広告をきっかけとしたケースは36.3%まで上昇した。
ネット広告がきっかけとなった2024年度の相談では、「衛生設備」が23.7%で最も多く、「役務その他」21.6%、「衛生サービス」11.3%などが続いた。また、解約や返金などに関する一定の条件で抽出した165件を分析すると、価格に関するトラブルが70.3%、勧誘手法に関するトラブルが31.5%、契約書面に関するトラブルが30.9%だった。複数の項目に該当する相談もある。
「〇円~」などと表示されたネット広告を見て業者を呼んだ後、広告から想定される額を大幅に上回る契約に至ったケースも確認された。広告表示額が1001~5000円だった相談のうち、契約額が5万1~10万円だったケースが15.8%、10万1~20万円が12.0%、20万円超が7.1%を占めた。
調査では、契約解除を巡るトラブルも分析。2024年度の訪問販売相談のうち、一定の条件に該当した415件について調べたところ、返金などの手続きを行わなかったり遅らせたりする「手続的妨害・履行の遅延」に分類された相談が16.4%だった。このほか、高額な解約料などの請求が8.7%、解約権に関する不実告知が8.0%、威迫・困惑が3.4%だった。
報告書は、消費生活相談の実態を把握し、今後の特定商取引制度の検討に役立てるための基礎資料とすることを目的としている。