事前に知って未然に防ごう!

自然災害に便乗する消費者トラブル、国セン

今年3月で、東日本大震災から15年が過ぎる。あれからわが国では、震度6を超える大規模地震がたびたび発生した。2016年4月に熊本地震、2018年9月に北海道胆振東部地震。2021年には東日本大震災の余震として福島県沖地震が発生し、2022年には再び福島県沖で起きた地震により東北新幹線が脱線した。2024年元日を襲った能登半島地震では多くの家屋が倒壊し、大規模火災が発生するなど、正月ムードを一変させた光景が記憶に新しい。自然災害に伴って消費者の生活を脅かしてきたのが、便乗商法などの消費者トラブルだ。PIO‐NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)に寄せられた過去10年の相談件数をみると、北海道胆振東部地震が発生した2018年が7537件と最も多く、次いで9月と10月に巨大台風が襲った2019年に7520件、熊本地震が発生した2016年が6276件と続く。内容をみると、住宅の修理といった自然災害に直接関係するものだけでなく、自然災害を口実にした点検商法や支援をうたった悪徳商法など、さまざまなトラブルが発生している。国民生活センターは3月4日、自然災害に関連して発生した消費者トラブルをまとめ、同様の被害にあわないよう消費者に向けて注意を呼びかけた。(原田恵理)

自然災害を▽地震▽台風▽豪雨-の3つに分け、関連した商品やサービスについての相談件数をみると、地震では、保険などの「申請代行サービス」が18.2%と最も多く、次いで「工事・建築」が17.8%、「不動産賃借」が9.4%と続いた。台風でも「申請代行サービス」が最も多く29.1%で、次いで「工事・建築」が18.1%、「修理サービス」が8.2%だった。豪雨では「不動産賃借」が22.0%、「工事・建築」が15.3%、「火災保険」が7.8%の順だった。
自然災害によって直接起きたトラブル事例としては、2024年2月の70歳男性の場合、地震後に屋根が心配だったので、家を建てた事業者に相談したが、震災の影響で工事が立て込み、すぐに対応できないと言われた。瓦の状態を心配していたところに、近くで屋根工事をしているという事業者が「お宅の屋根瓦がずれている。応急処置としてブルーシートをかけてあげる」と訪問してきたので見積もりを依頼した。翌日、約100万円の見積もりを持ってきたので「高額すぎる」と伝えたところ、後日20万円ほど値引きしてきたので契約した。その後工事が始まったが見積内容よりも作業範囲が狭くなっていたり、通常より金額が高い工法が採用されていることが分かった。家を建てた事業者に相談したところ、「怪しい点が複数ある」と指摘されたので解約したい、というものだった。
自然災害によって間接的に発生したものでは、2024年9月の40歳代女性の場合、2カ月ほど前にホテルと航空券のパック旅行を申し込み、代金4万円をクレジットカードで決済したが、出発便が台風の接近で欠航となり、払い戻しの連絡がきた。申請はツアー終了後から5日以内という条件だったので、期限内に専用デスクに複数回電話をかけたがつながらなかった。期日を過ぎてようやくつながったが「期限が過ぎたので返金できない」と言われた。納得ができない、といったものだった。
災害を口実にした勧誘トラブルでは、自宅に突然「分電盤を点検する」と言って若い男性が訪問してきた。「先日の地震で分電盤が原因の火災が多数あったので取り換えたほうがいい」と言われ、その場で契約書を書かされたが、知り合いの工務店から「それほど古い分電盤でもないので取り換える必要はない」と言われ、だまされたと思った。請求書が届いたがどうすればいいか(2025年8月80歳代男性)、といったものがある。
このほか、「被災地の役に立てば」という、親切心につけこんだ悪質なトラブルも多数寄せられている。「支援物資となる不用品を集めている」と持ちかける貴金属目当ての訪問購入や、行政職員を名乗って消費者を信用させ、寄付や支援を募るケースなどがある。
同センターは、「自然災害の後にはさまざまな消費者トラブルが発生することを知ってほしい」として、▽工事や修理の勧誘を受けてもその場で契約せず、複数の見積もりをとり、周囲の人に相談する▽賃貸住宅の損傷は賃貸借契約の内容を確認し、日頃から大家や管理会社などの相談先を確認しておく▽加入している保険の対象範囲や申請方法を把握する▽親切心につけこむ怪しい話には乗らない-などのアドバイスをしている。
不安に思ったりトラブルになった場合は、消費者ホットライン「188」に相談してほしい。

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