食べられると思ったのに―なぜ毒キノコを食べてしまうの?

食べられると思ったのに―なぜ毒キノコを食べてしまうの?

「毒キノコ」と分かっていて食べる人はいません。それでも毎年、毒キノコによる食中毒が起きています。厚生労働省の「2025年食中毒発生状況」によると、2025年にキノコ類による食中毒は16件、患者は46人でした。中でもツキヨタケによるものが9件、32人と最も多くなっています。
では、なぜ食べてしまうのでしょうか。

「これは食べられる」という判断

まず考えられるのが、「見た目」です。毒キノコの中には、食用キノコとよく似たものがあります。食中毒の原因となることが多いツキヨタケは、食用のヒラタケやムキタケ、シイタケなどと間違えられることがあります。

新潟県が、こうした「見た目による思い込み」が原因で毒キノコを食べてしまった事例を紹介しています。
11月初旬、Aさんは材木店の木に生えていたキノコを採取し、自宅に持ち帰って油炒めにして食べました。食べた7人全員が、おう吐などの症状を呈し、1人が入院しました。残っていたキノコを調べたところ、ツキヨタケであることが分かりました。Aさんは、持ち帰ったキノコを近所の人に見てもらい、「食用のヒラタケ」と言われたことから、食べられると思い込んでいたといいます。

この事例から、食べられるキノコに似ているだけでなく、食べられると言われたことも、誤った判断につながることが分かります。
「自分では分からないから、詳しい人に見てもらえば大丈夫」と考えてしまうこともありますが、食品安全委員会は、外見で毒キノコを見分けることは困難だと注意しています。

「昔から言われているから」は根拠にならない

毒キノコには、昔から伝わるさまざまな言い伝えがあります。
例えば、「虫が食べているキノコなら大丈夫」という考え方。虫やナメクジは毒キノコも食べるため、虫食いの跡があることは、人が食べられるかどうかの判断材料にはなりません。
また、「茎が縦に裂けるキノコは食べられる」という説もありますが、縦に裂ける毒キノコもあります。「ナスと一緒に煮たら毒が消える」「塩漬けしたら食べられる」などの言い伝えもありますが、毒は消えません。

「栽培している木だから大丈夫」も思い込み

もう一つ、新潟県が紹介している事例があります。
9月中旬、Cさんが自家用のヒラタケ栽培用の「ほだ木」から採取したキノコを、しょうゆ焼きなどにして食べたところ、数時間後、食べた3人全員がおう吐や腹痛などの症状を呈し、病院で治療を受けました。残っていたキノコを調べた結果、ツキヨタケであることが分かりました。
Cさんは、問題のキノコの形が多少ヒラタケと異なることに気付いていました。それでも、「ヒラタケを栽培しているほだ木から採れたのだから大丈夫」と思い込んでしまったといいます。
この事例から、キノコの見た目だけでなく、「生えていた場所」や「これまでの経験」を根拠にしてしまうことが、誤った判断につながることが分かります。

野生のキノコ

食品安全委員会によると、キノコによる食中毒は9~11月に集中しており、その多くが家庭で起きています。毒キノコを食べないよう警戒しているものの、事例からも分かるように、キノコに詳しい人に見てもらったり、昔からの言い伝えを信じたり、思い込みがあったりして、食べてしまうおそれがあります。食べようかどうか迷ったときは、行政が呼びかけているこの言葉を思い出してください。
「野生のキノコは、採らない、食べない、人にあげない。」


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