サプリメントや加工食品などの「栄養機能食品」に表示できるビタミンやミネラルの働きについて、国が定める表示ルールが見直された。消費者庁は10月1日、内閣府令が公布、施行されたことを公表した。亜鉛やカルシウム、ビタミンCなどについて、食品に表示できる栄養成分の機能を表す文言を変更するほか、一部では栄養成分量の下限値や上限値も改める。
今回の改正の中心となるのは、食品表示基準の「別表第11」。栄養機能食品として表示できる栄養成分について、含有量の下限値や上限値、その栄養成分が持つ機能、摂取する際の注意事項などを定めている。
栄養機能食品は、ビタミンやミネラルなど特定の栄養成分を一定量含む食品について、国が定めた表現を使って、その栄養成分の働きを表示できる制度。今回の改正では、制度そのものを大きく変更するのではなく、食品パッケージなどに記載する「栄養素の働き」の説明を現在の科学的知見に合わせることが大きな柱となった。
例えば亜鉛では、これまで「味覚を正常に保つのに必要な栄養素です」としていた表示を、「味覚を正常に保つのを助ける栄養素です」に変更。「皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です」という表現も「栄養素のひとつです」に改める。一方、従来認められていた「たんぱく質・核酸の代謝に関与して、健康の維持に役立つ」とする機能表示は削られる。
表示できる食品の栄養成分量にも変更がある。亜鉛の下限値は従来の2.64mgから2.55mg、上限値は15mgから17mgに変更された。鉄は下限値が2.04mgから1.95mg、カルシウムは204mgから210mgとなる。
銅についても、下限値を0.27mgから0.24mg、上限値を6.0mgから4.6mgに変更する。機能表示は従来の「赤血球の形成を助ける栄養素です」などから、「赤血球を作るのを助ける栄養素のひとつです」に改められる。
マグネシウムも上限値が300mgから320mgに変更される。機能表示については、「骨や歯の形成に必要」といった従来の表現を「骨や歯を作るのに必要な栄養素のひとつ」とするほか、エネルギー産生や血液循環についての説明もそれぞれ整理した。
ビタミンAは「夜間の視力の維持を助ける」から「暗所での視力を正常に保つのを助ける」に変更。ビタミンB1は「炭水化物からのエネルギー産生と皮膚や粘膜の健康維持を助ける」としていたものを、「エネルギーを作るのを助ける栄養素のひとつです」とする。下限値も0.36mgから0.30mgに変更される。
ビタミンCでは、従来の「皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用を持つ栄養素です」という表現を大幅に具体化する。「抗酸化作用により細胞を保護するのを助ける」「皮膚や粘膜、骨、血管のコラーゲン合成を助ける」「鉄の吸収を助ける」という3つの働きを表示できるようになる。
ビタミンDも、「カルシウムの吸収を促進し、骨の形成を助ける」という従来の表現から、「カルシウムの吸収を助ける」「骨を作るのを助ける」と、機能を分けた表現に変わる。下限値は1.65μgから2.70μgへ引き上げられる。
ビタミンEは下限値を1.89mgから1.95mgに変更。機能についても「体内の脂質を酸化から守り、細胞の健康維持を助ける」としていた表現を、「抗酸化作用により細胞を保護するのを助ける栄養素のひとつです」と簡潔にする。
葉酸については、「赤血球の形成を助ける」から「赤血球を作るのを助ける栄養素のひとつ」に変更。妊娠との関係で重要となる機能についても、「胎児の正常な発育に寄与する」から「胎児の正常な発育を助ける」に表現を改める。
消費者庁によると、栄養機能食品制度は2001年の創設後、表示できる栄養成分の追加や上下限値の見直しは行われてきたものの、栄養成分の機能や摂取時の注意事項の文言については見直されてこなかった。従来の表現と現在の「日本人の食事摂取基準」に記載された機能の科学的根拠との間に乖離が生じているとの指摘を踏まえ、今回の改正につながった。
ただし、食品売り場の商品が直ちに一斉に新表示へ切り替わるわけではない。内閣府令は10月1日に施行されたが、2030年3月31日まで経過措置を設けている。同日までに製造、加工、輸入される一般向け加工食品と、同日までに販売される一般向け生鮮食品については、従来の別表第11による表示を引き続き使用できる。
このため、今後数年間は店頭で旧表示と新表示の商品が並ぶことになる。食品メーカーなどには、新しい基準値に合わせた商品の確認とともに、パッケージに記載する栄養成分の機能説明を順次切り替える対応が求められる。
今回の改正は、栄養機能食品の表示を、現在の科学的知見を踏まえた内容へ更新するものだ。消費者が日常的に目にする「カルシウムは骨に」「ビタミンCは抗酸化作用に」といった栄養素の説明も、今後、商品パッケージ上で徐々に新しい表現へと変わっていく。